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アメリカ議会史上最悪のスキャンダルと言われた大物ロビイストとは?ケヴィン・スペイシーを直撃!

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ケヴィン・スペイシー
ケヴィン・スペイシー

 映画『ユージュアル・サスペクツ』で助演男優賞、映画『アメリカン・ビューティー』では主演男優賞と2度のオスカーを受賞したケヴィン・スペイシーが、新作『カジノ・ジャック(原題) / Casino Jack』について語った。

ケヴィン・スペイシー出演映画『アメリカン・ビューティー』場面写真

 同作は、アメリカ議会史上最悪のスキャンダルと言われた、大物ロビイスト、ジャック・エイブラモフ(ケヴィン・スペイシー)の議会賄賂事件、及びカジノ関連詐欺事件を扱い、2006年に有罪となったジャックの個性的なキャラクターを生かしながら、コミカルなタッチで描いた作品。

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 ケヴィンは、実在のジャック・エイブラモフに刑務所で会ったそうだ。「彼とはプライベートな会合で、かなり長い時間話すことができたんだ。わざわざ彼が僕に会ってくれたことに感謝しているよ。実は、この事件が明らかになったときはロンドンにいて、アメリカと違ってすべてのメディアがこの話を扱っていなかったため、事件のことは知っていたが、詳細はあまり知らなかったんだ」と元大統領のクリントンの友人でもある彼は、日ごろから政治事情に詳しいそうだが、この話はほとんど耳にしていなかったようだ。「それに当初は、ジャックに会ってみたかっただけで、あえて事件のことに関してリサーチもせずに彼に会ったんだ。そのため、結果的にはたくさんの質問を彼にすることになった。その質問の中で、僕は彼が起こした事件よりもむしろ、この事件が起きたときの彼の感情の起伏や、この事件に関してどう発言するかに興味があったんだ。実際の彼は非常にオープンで、実直に何でも答えてくれたよ」と彼との面談が貴重なものだったことを明かした。その後、ケヴィンはワシントンDCのロビイストや弁護士、ジャックを愛した人物や逆に憎んだ人物と会い、さらにニュース映像を見ながら、どういうトーンでこの映画を描くか熟考したそうだ。そのためこの作品では、まるでモンスターのようにメディアで扱われていたジャックではなく、ジャックの人間性がしっかり表現されている。

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 映画内でジャック・エイブラモフが上院傍聴(議会)を前にして黙秘権を行使しようとした後に、気分が変わってすべてを告白するシーンがあるが「もし刑務所に入ることがわかっていたなら、決して黙秘権を行使しようとは思わなかったとジャックは、僕に刑務所で言ってくれたんだ。だからあのシーンは、もしジャックが黙秘権を行使していなかったら、どうなっていたかを描いたつもりなんだ。ここで、あの上院傍聴がいかに偽善で、まるでちんけなサーカスであったかを示す必要があったんだ。あの場にいたジョン・マケインだってジャックから金を取っていたはずなのに、指をさしてジャックを非難していたのはおかしいと思うだろ」と苦言を呈した。

 映画『「闇」へ』でアカデミー賞を受賞したアレックス・ギブニー監督が、すでにジャック・エイブラモフを題材にしたドキュメンタリー映画を描いていることについて「実は、ドキュメンタリーを観ていないから、あの映画に対して意見を持っていないんだ。ジャックのことに関しては、本、ドキュメンタリー作品、そしてこの長編作品があって、我々は興味ある題材に関して違った観点から見ることのできる時代にいる。だから、競争相手のようなものではないと思うよ」とケヴィンが語る通り、映画はドキュメンタリー作品とは違ったコメディ調で、興味深い人間模様が描かれている。

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 現在、ジャック・エイブラモフは出所して、3年間の執行猶予中である。ケヴィンは、知的でありながら非常に気さくな人物で、ジョークを織り交ぜながら話していた。今後ケヴィンは、来年の5月から『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス監督と再びタッグを組んで「リチャード三世」の舞台のリハーサルに入り、6月29日からのロンドン公演の準備に入るそうだ。

 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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