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佐藤浩市『最後の忠臣蔵』インタビュー!「時代劇の心はきっと、老若男女問わずDNAに入っている」

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佐藤浩市
佐藤浩市 - 取材・文:シネマトゥデイ 写真:吉岡希鼓斗

 『四十七人の刺客』などで知られる池宮彰一郎の同名小説を、テレビドラマ「北の国から」シリーズの演出を手掛けた杉田成道が映画化した『最後の忠臣蔵』で寺坂吉右衛門を演じた佐藤浩市が、作品の魅力、そして約30年もの間けん引し続けている、日本映画への熱き思いを語った。

映画『最後の忠臣蔵』写真ギャラリー

Q:本作は、時代劇の本場・京都で撮影されたそうですね。やっぱり、京都の撮影所は特別なところですか?

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京都の撮影所では、美術部の末端まで、皆が時代劇をちゃんとわかっている。それは東京の若いスタッフにはない知識だし、知識があるからこそ、助監督でも何でも、皆がお互いの意見を言い合えるんですよね。言葉遣い一つ取っても「これは言わないな」とか、ちゃんとわかっていますからね。殺陣でも、ずっと斬(き)られ役をやってきた人たちだから、やっぱり違います。

Q:映画『ラスト サムライ』にも出演された、殺陣師の福本清三さんも出演されていましたね!

福本さんは、30年前に僕が初めて京都に行ったときからバリバリ殺陣をやっていらっしゃる方で、今60代後半。もう何かあったらどうしようって、見ているこっちが怖くて、ビクビクしちゃいました(笑)。

Q:時代劇の魅力はどこにあると思いますか?

形もあるし、形と共にメンタリティーが常にあるということではないでしょうか。どんなにハチャメチャな時代劇でも、やっぱり武士道や侍というメンタリティーは同じだし、市川崑監督が形を崩した時代劇を作ったとしても、核となるのは日本人の心。だから、今皆さんが観て楽しまれている時代劇の心というのは、現代の日本にはもうないものなんです。ないものだけど、日本人としてその心は否定できない。時代劇の心というのはきっと、老若男女問わずDNAのどこかに入っているものなのでしょうね。

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Q:佐藤さんご自身、役者として約30年の時が過ぎましたが、振り返ってみていかがですか?

若いころは、形に押し込められる時代劇というものが好きじゃなかったのですが、今は昔と違うカタルシスがあります。昔は、一生懸命役に成り切ろうと無理なアプローチをしたこともありました。でもブレないものが一つだけあって、それはうそをつきたくないということだった。だから若いころは、できるだけ自分が感じたこと、思ったことをはっきり言うようにしていました。今は、監督の希望通りに演じようと変わってきたけれど、そこにうそがあってはいけない。演出家に言われたことを正直に表現するために、どういう道筋を作っていけばいいだろうというのは常に考えています。

Q:現場ではたくさん発言されますか?

30 年近くこの世界にお世話になっているので、自分の知っていることはその場の空気が許してくれるのであれば、話すようにしていますね。同年代の中井貴一なんかとも、そういうふうにしていきたいねと言っています。まあ、それがウザいと思われちゃうかもしれないんですけどね(笑)。

Q:これからの日本映画界に期待することはありますか?

期待はないなあ(笑)。昔に戻る必要はないのだけど、変わっていくことにどこかで誰かがストップをかけて、日本映画が向かっている方向はこれでいいのだろうかと、考える時間を持つことができればいいと思います。当然フィルムではなくなってきているし、その中で変わっていくことがあると思うんです。エンターテインメントを目指す人や、そうじゃなくて基本に立ち返る人たちもいる。そのどちらかに片寄るのが一番怖いですね。期待はないけど、「これで良かったのかな」って言える人たちがいてほしいと思います。

(シネマトゥデイ インタビューより)
『最後の忠臣蔵』は全国にて公開中

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