ポール・ジアマッティを直撃!ダスティン・ホフマンの即興についていくのが大変だった?
映画『サイドウェイ』や『シンデレラマン』などでおなじみのポール・ジアマッティと、映画『17歳の肖像』や『サロゲート』で現在注目されている女優ロザムンド・パイクが、新作『バーニーズ・バージョン(原題) / Barney's Version』について語った。
ポール・ジアマッティ出演映画『終着駅 トルストイ最後の旅』写真ギャラリー
同作は、酒とタバコをこよなく愛するバーニー(ポール・ジアマッティ)は、風変わりな父親(ダスティン・ホフマン)のもと自由気ままに生きてきたが、そんな彼がイタリアとアメリカを股にかけて3度の結婚を経て、ようやく真実の愛を見つけていくというコメディドラマ作品。ロザムンド・パイクは、バーニーの3番目の妻役を演じている。ポール・ジアマッティは、この映画でゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞にノミネートされている。
ポールが演じたバーニーは自分勝手だが、なぜか憎めない役柄であることについて「この役は、すでに脚本に詳細に書かれていたから、僕自身の演技でキャラクターをより引き出したわけではないんだ。確かに君の言う通り、好まれるようなキャラクター設定でなければ、おそらく最後までこの役を観ていられないだろうね。ただ、友人などには繊細な部分を見せる傷つきやすい男でもあるんだよ。脚本は、原作を執筆したモーデカイ・リッチラーとは少し違っていて、役柄を損なうことがないように、僕はあえて脚本だけに集中したんだ」とポールは明かし、原作を読んだのはずっと後だったらしい。
バーニーの父親イジーを演じたダスティン・ホフマンとの共演についてポールは「彼はすぐに、誰とでも仲良くできる人なんだ。それに彼と仕事をしていると、すごく楽しいんだよ! もっとも、その過程は少し大変だったけれどね……(笑)。それは、撮影の途中で何度かダスティンが急に脚本を放り投げて、即興をやり始めたときだった。もちろん僕は、そんな彼に合わせてついていかなければならないシーンが幾つかあったんだよ(笑)。ただ、その即興はリハーサルを信じていないダスティンには非常に効果的で、どんなシーンでも(リハーサルをやらず)すべてカメラの前で彼は演じてみせるんだ。要するに彼の演技は、すべて映像として残されているということなんだ」とダスティンに敬意を示す言葉を残した。
一方、ロザムンド・パイクは自身が演じた妻ミリアムとバーニーとの関係について「私はミリアムみたいな女性に憧れるわ。なぜならバーニーみたいな男は、確かにすごく楽しくってエキサイティングなんだけれど、すごくナルシストで自分勝手でもあるから、そういうことに耐えられる女性でなければ無理だと思うの。けれど、ミリアムはそんなバーニーをある意味(人として)育てながら、極力彼のままで居させてあげようとするの。だから、バランスの取れたカップルであると思うわ」と魅力的な夫婦関係であることを語った。
何でも衝動的に行動してしまうバーニー役は、まさにポール・ジアマッティには適役で、彼を取り巻く3人の妻との関係が、それぞれ全く違っていて面白い作品に仕上がっている。ポールの次回作は時代劇作品『アイアンクラッド(原題) / Ironclad』、ロザムンドの次回作は、ジャック・ブラックとの共演作『ザ・ビッグ・イヤー(原題) / The Big Year』が控えている。
(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)