今週の全米トップは『ブラック・スワン』が好調なナタリー・ポートマン主演の新作『抱きたいカンケイ』に -1月24日版
全米ボックスオフィス考
大型封切りが1作品だった今週のチャート争いは、トップ10にランクインした唯一の新作映画『抱きたいカンケイ』が、全米映画ランキングの第1位となった。
歴代のナタリー・ポートマン主演映画において、この作品は映画『Vフォー・ヴェンデッタ』に続き2番目の封切りウイークエンド成績となっている。とはいうものの、3,018館・推定3,500スクリーンで封切られたにもかかわらず1,965万ドル(約16億7,025万円)の収益であったという現状は、新作が数本封切られる普段の週末であれば、トップは難しい軟弱な数字である。さらに今週末のボックスオフィスは、映画『アバター』が大ヒット中だった去年の同時期と比べ、何と29パーセントの収益減に加え6週連続収益減の記録を達成したばかりか、歴代の同じ週のウイークエンド記録を照らし合わせると1992年以来の最低観客数という記録で、何とも厳しい状況となっている。(1ドル85円計算)
ちなみに、『抱きたいカンケイ』の配給会社パラマウント・ピクチャーズの調べによると映画を観に来ていた70パーセントは女性客、そして60パーセントが25歳以上の観客であったという調査結果が出ている。
さて、先週の第1位から今週第2位に転落してしまったのは、映画『グリーン・ホーネット』で、1,768万ドル(約15億280万円)の収益。降下率は47.3パーセントと、スーパーヒーローコメディーというこの手の映画にしては、悪くない。公開前は散々な評判だった『グリーン・ホーネット』だが、フタを開けてみれば中々好調な成績である。主演で製作総指揮も担当しているセス・ローゲンもこれでちょっと一安心というところだがこの映画の結果、セスが果たして大物コメディー俳優として着実なキャリアを積んでいけるのかが見どころである。
続いて第3位は、48.9パーセント収益減で先週からワンランク・ダウンの映画『僕が結婚を決めたワケ』で、911万ドル(約7億7,435万円)。トップ3で900万ドル(約7億6,500万円)台という結果が、今週のチャートがいかに寂しいものかを物語っている。
第4位は、先週に引き続き映画『英国王のスピーチ』で785万ドル(約6億6,725万円)。収益減も14.5パーセントにとどまり、全米で現在封切られているトップ10の中で一番低い落下率である。封切り後59日目にして総合興行収入5,731万ドル(約48億7,135万円)となっており、同系統作品のヘレン・ミレンのアカデミー受賞作映画『クィーン』の国内最終興行収入記録をすでに塗り替えている。
そして今週のトップ5最後を飾ったのは、映画『トゥルー・グリット』で733万ドル(約6億2,305万円)の成績。公開33日目にしてウエスタンものにしてはアッパレの1億ドル(約85億円)台はおろか、1億3,800万ドル(約117億3,000万円)を記録し依然として数字を伸ばし続けており、どこまで収益記録を伸ばしていくのかが楽しみである。
次回のランキング予想だが、めぼしいところが2作品。まずは、ここのところ低迷気味のボックスオフィスに喝! となるといいアクション映画『ザ・メカニック(原題) / The Mechanic』。ジェイソン・ステイサム主演で、ベン・フォスター、ドナルド・サザーランドらが脇を固める。ジェイソンの人気シリーズ映画『トランスポーター』にかなり似たところもあるが、アクションファンは観に行ってしまうであろうタイプの映画である。
2本目の話題作は、映画『ザ・ライト -エクソシストの真実-』という作品。このRiteというのは宗教上の儀式という意味で、迫真の演技ならおまかせの大御所アンソニー・ホプキンスが有名なエクソシストである神父を演じるオカルト作品だ。コワいもの好きの映画ファンを、果たしてどこまで引き付けることができるか。
次回の全米ボックスオフィスは、アクション映画vs.オカルト映画のトップ争いになりそうだ。(文・取材: アケミ・トスト/Akemi Tosto)
映画『抱きたいカンケイ』は4月22日(金曜)より新宿バルト9ほかにて全国公開