井筒監督から長州力までアツくなる!名作『ゴッドファーザー』の忘れられない名場面とは?
シリーズ映画のうち2本がアカデミー賞作品賞を受賞するなど、アカデミー史上初めての偉業を成し遂げた名作といえば、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画『ゴッドファーザー』だが、現時点でもなおその記録も破られず名作として愛され続けている同シリーズの魅力を、日本を代表する監督犬童一心、井筒和幸、加えてプロレスラーの長州力がアツく語った。
全3作を通して、イタリアンマフィアの抗争劇とその裏で繰り広げられるファミリーの愛憎を描いた同シリーズは、第1作『ゴッドファーザー』と第2作『ゴッドファーザーPART II』がアカデミー賞作品賞を受賞。また、2009年に老舗映画雑誌「キネマ旬報」が実施した「オールタイム・ベスト 映画遺産200」では第1作が外国映画部門で堂々の第1位に選出された。
そんな世代を超えて支持される名作は、ここ日本でもファンが多く、名だたる映画監督もこぞって絶賛している。バイオレンス描写に対して、日本映画界屈指のこだわりを持つ井筒和幸監督も、同作に強い影響を受けている一人だ。同シリーズの見どころといえば、激しい銃撃戦や「馬の生首がベッドにドサッ……」といった映画史の常識を覆すバイオレンスシーンの数々だが、「特に印象に残っているのは、長男ソニーが高速道路の料金所でハチの巣にされるシーンだね。あれを観たときは映画だと忘れて、『この人、本当に死んだんだ』と思った。あの怖さは誰もマネできないね」と井筒監督。
メガホンを取る際は、あえて『ゴッドファーザー』のことを忘れて撮影に臨むものの、「結局『ここはソニーが撃たれるシーンみたいに』って。当然スタッフもみんな観ているから、話が早い」と常にインスピレーションの源になっている様子。「日本映画が『ゴッドファーザー』を超えること? 無理だと思う。これほど普遍的な作品がある以上、それを塗り替えることはできない」と手放しでこの傑作をたたえる。
一方、「主役級はもちろん、脇役まで演技が素晴らしい」と語るのは犬童一心監督。『ゴッドファーザー』といえば、マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノらの名演が見せ場だが、それ以外にも「例えば、結婚式で歌っているだけのおじさんも忘れられない存在。エキストラや背景の美術、ライティングまですべての一体感がパーフェクト」と総合芸術として高く評価している。また、山下敦弘監督も「役者の芝居を観ているだけでも3時間飽きることがない」。マーロン・ブランド演じるヴィトーがトマト畑で倒れるシーンで、小さな男の子が見せる無垢(むく)な笑顔を「あれもきっと演出ではなく、子どもの自然な反応をとらえたはず」と分析する。両監督とも「コッポラ監督は、俳優の演技を信頼している」という意見で一致している。
そして「ドンが襲撃されるシーンは衝撃的だったけど、せつない気持ちになった」と語るのは、プロレスラーの長州力。格闘家の目線から観ても本シリーズには驚きがたくさんあったようで「その時代のカラーが描かれていて、マフィアというダークな世界観にリアリティーを感じた」と絶賛する。
日本を代表する著名人をも魅了する『ゴッドファーザー』シリーズ。まだ観たことがないという人はもちろん、過去に観たファンにもきっと新たな発見があるはずだ。
映画『ゴッドファーザー』は3月19日午後0:30よりWOWOWにて放送。