東日本の劇場営業再開などで映画興収が上向き傾向に 『SP 革命篇』3週連続首位のまま好調な伸び
映画週末興行成績
エンターテインメント業界では、過去に類を見ないほどに全国的なイベントの中止・延期が相次いでいる。社会情勢を考慮すれば、イベントの自粛はやむを得ない判断なのかもしれないが、節電などの影響がないエリアでさえも自粛が相次いでいるという。世間にまん延する過剰な自粛ムードは精神的にも経済的にも何も生み出さず、このままの状態が続けば日本経済の停滞を招きかねないような状況だ。
今週はそうした公開予定作品の上映中止の影響などもあり、初登場作品のないベストテンランキングとなった。そして、その中で順位を上げた作品がいくつかある。もちろん東日本の映画館の営業再開などによるスクリーン数の増加などもあり、その要因は単純に分析できるものではないが、それでも上位作品や順位を上げた作品に象徴的に共通するのは、被災地に配慮をしつつも、前を向いてイベントなどを実施しようという「行動」を伴った作品であるということ。行動か自粛か、この時勢ではどちらが正解とは言えないが、それでも「人々を元気にする」エンタメ業界の底力が、今こそ試されている時だといえるだろう。
今週は『SP 革命篇』が3週連続で1位を獲得。公開16日間の累計は動員119万6,013人、興行収入15億989万5,800円を突破。26日には、震災の影響で延期となっていた岡田准一、堤真一らによる舞台あいさつを実施したことも話題となった。2位は『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』が同順位をキープ。都内近郊の劇場再開によるスクリーン数増加から、動員の前週比103%と好調な成績だった。公開23日間の累計動員が123万7,972人、累計興収は13億6,414万9,500円となった。
3位は『塔の上のラプンツェル』がワンランクアップ。こちらもスクリーン数の大幅増により、前週比117%という成績でトップ3に返り咲いた。『SP 革命篇』と同じく延期となっていた、日本語吹き替えを務めた中川翔子による舞台あいさつを26日に実施したことが話題となった。4位は『映画 プリキュアオールスターズDX(デラックス)3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』がワンランクダウン。5位『ツーリスト』、6位の『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』は同順位をキープしている。
7位は『漫才ギャング』がワンランクアップ。18日の沖縄国際映画祭ではオープニング上映がされ、19日の公開初日に東京、20日には大阪で舞台あいさつが行われた本作。舞台あいさつの収益や募金など225万円以上が義援金として被災地に寄付されたことが発表された。8位は『ONE PIECE ワンピース 3D 麦わらチェイス』がワンランクダウン。9位は公開5週目の『英国王のスピーチ』が同順位をキープとなったが、前週比106%ということで客足は好調だった。
そして『劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~』が全国37スクリーンという小規模公開ながら前週比117%という成績を上げ、先週の11位から10位とベストテンに返り咲いた。そして公開9週目の『GANTZ』は11位、『ザ・ファイター』が全国60スクリーンという公開規模ながら12位に初登場という結果となった。
今週末は『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』『婚前特急』『SOMEWHERE』『高校デビュー』『津軽百年食堂』といった作品が公開予定となっている。(取材・文:壬生智裕)