1歳の女の子がかわいく酔っ払いを演じた作品が映画祭で話題に YouTubeアクセス数も700万間近
今年のエーテボリ国際映画祭で最優秀短編賞と観客賞を受賞した、1歳の女の子が酔っ払いを演じたスウェーデン映画『ラス・パルマス(原題)/ Las Palmas』が話題になっている。YouTubeにアップされた1分20秒ほどの動画が4月6日21時現在、約695万アクセスを記録しているほか、イギリスのニュースサイトにも取り上げられるなどインターネットを中心に盛り上がりをみせている。
1歳の女の子が酔っ払いを演じているというだけでも話題になるのは十分だが、何よりも注目に値するのは女の子が本物の酔っ払いにしか見えないところ。グラスいっぱいのビールやカクテルを飲み干し、千鳥足で立ち上がってはレストランでほかの客の迷惑を顧みずに騒ぎ立てるあたりはまさしく酔っ払い。動画の最後でつんのめって転倒してしまうところまで、どこか夜の街で見掛けそうな光景だ。
だが、もちろん、1歳の女の子が本当に酔っ払っているはずはない。これは子どもの行動を、編集で酔っ払いのそれに見せかけているだけ。女の子の演技が真に迫っているのも当然のことで、そもそも演技ですらないのだ。この短編映画を取り上げたSmall World News Serviceに本作のヨハネス・ニホルム監督が語ったところによると、「この女の子は実の娘だよ。そして、本作のアイデアは彼女から得たんだ」と最初にわが子ありきの作品だったようで、セリフは一切なく、ほかの出演者も操り人形だけという徹底ぶり。同サイトでは制作上の苦労については触れていないものの、幼児を相手にした撮影が相当大変だったであろうことは容易に想像できる。もっとも、主演の女の子はやけに楽しそうにしており、わが子の笑顔の前にそんな苦労など吹き飛んでしまった可能性も否定はできないかも?
今年1月から2月に掛けて開催されたイエーテボリ国際映画祭のコンペ部門に出品された本作は、短編作品の予告編だったにもかかわらず、最優秀短編賞と観客賞を同時受賞。同時期にYouTubeへとアップされた動画も世界中からアクセスされており、ニホルム監督は「ネット上でこんなにも多くの人に観られているなんて本当に驚きだよ」と予想外の反響であることを明かすと、「いろいろな反響があったけれど、概ねは好意的なものだったね」と大衆に受け入れられていることに安心しているようだった。
本作のニホルム監督は1974年生まれ。2003年からアーティスト、映画監督、アニメーターとして活躍しており、カンヌ国際映画祭にも出品した経験があるという期待の若手監督だ。今回の予告編の完全版となる13分30秒の作品は、5月に発表する予定となっている。(編集部・福田麗)