「東のエデン」ファン必見!震災の影響で完成が遅れた「Xi AVANT」が「攻殻機動隊」と同時上映で初披露
9日、新宿バルト9でアニメ映画『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』大ヒット御礼&『Xi AVANT(クロッシイ・アバン)』上映開始記念舞台あいさつが行われ、神山健治監督が登壇。朝9時という早い上映時間であるにもかかわらず、会場には熱心なファンが大勢駆けつけた。
映画『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』写真ギャラリー
大ヒットアニメ「東のエデン」シリーズを手掛けた神山健治監督による「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ第3弾となる本作。全国9スクリーンという小規模公開ながら高い興収アベレージを記録、大ヒットを記録している。そしてこの日、世界初公開となった新作短編アニメーション『Xi AVANT』がスクリーンで上映されると、会場は拍手の嵐に包まれた。そんな中、登壇した神山監督は「作った方は、作品を早く観ていただきたい気持ちと、居心地の悪い気持ちと両方あります。でも一応拍手は聞こえてきたので、ほっとしています」と安堵の表情を見せていた。
この日、同時上映が開始となった『Xi AVANT』は、NTT Docomoの次世代通信LTEサービス「Xi(クロッシィ)」が普及した近未来を舞台に繰り広げられる約3分半の短編アニメ。「東のエデン」シリーズのメインスタッフが集結していることも話題となっている。また、「東のエデン」本編に唯一登場しなかった、幻のセレソン「ナンバー7」と同姓同名の篁(たかむら)カオルが主人公になっていたり、ノブレス携帯の持ち主の願いを叶えてくれるジュイスに似たキャラクターが登場したりと、「東のエデン」ファンなら思わずニヤリとしてしまうネタも多数詰まっている。その点について聞かれた神山監督は「もしかしてあれかもしれないですし、そうでないかもしれない。いろいろと想像してもらえたらと。でも今回はあくまでオリジナルということでよろしくお願いします」と言って、いたずらっぽく笑った。
本作について「本当はもっと早くお見せしたかったのですが……」と切り出した神山監督。実は本作アフレコの前日に震災が起きてしまい、延期になってしまったのだという。「日本人キャストは連絡がとれたんですが、スペイン語のキャストが帰国されたりして集めることができなくて。かろうじて連絡がついても九州に避難された方もいて。その人はかろうじて大阪までなら出てこれるというので、われわれが大阪まで出向いたこともありました。最悪、僕とプロデューサーでアフレコをするしかないと思い、スペイン語を練習したんですが、舌がまわらなかった」と笑う神山監督。そんな想いもあり、本作のチャリティーTシャツを販売し、その売り上げと興収の一部を被災地に寄付すると付け加えた。(取材・文:壬生智裕)
映画『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』は新宿バルト9ほかにて公開中