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河瀬直美監督の最新作『朱花(はねづ)の月』カンヌ国際映画祭コンペ部門に正式出品決定

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『朱花(はねづ)の月』
『朱花(はねづ)の月』 - (C)「朱花の月」製作委員会

 5月11日から22日まで開催される第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、河瀬直美監督の最新作『朱花(はねづ)の月』が正式出品されることがわかった。

 河瀬監督は、『萌の朱雀』で第50回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)、『殯(もがり)の森』で第60回カンヌ国際映画祭グランプリ(審査員特別大賞)を受賞、また第62回カンヌ国際映画祭で、映画祭に貢献した監督に贈られる金の馬車賞を受賞しカンヌ国際映画祭では高い評価を受け続けている。

 『朱花(はねづ)の月』の原案は、坂東眞砂子「逢はなくもあやし」(集英社文庫刊)。長編映画の本格デビューとなるこみずとうたと、モデルとしても活躍する大島葉子が出演し奈良の奥深く美しい歴史を背景に、人間が「生きる」ということの「真」を描き出す。

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 河瀬監督は、『朱花(はねづ)の月』に込めた思いについて、「古代、飛鳥地方では多くの歌が詠まれ、彼らの想いは千年の刻を超え、わたしに受け継がれ、『朱花の月』が誕生した。奈良の奥深い歴史を背景に、人間が『生きる』ということを描いた作品だ。古代人のように生きること。それは届かないことが前提の、それでもかまわない潔い想いなのかもしれない。そうして、伝わることのないままに、逝ってしまった命は無数だ」と命の営み一つ一つの強さと儚さを映像に描き出したことを明かした。

  またタイトルの「朱花」については、「朱花とは万葉集に出てくる言葉で赤を意味するもの。赤は、人間が最初に認識した色とも言われ、その意味は血、太陽、炎を連想するところからきている。また、その三つの要素は命の象徴のようでもある。その一方にある、褪せやすい色の赤に見る儚さその二面性をタイトルに託した」と朱に込められた意味についても明かした。

 今年のカンヌ国際映画祭でコンペティション部門の最高賞であるパルムドールを決める審査委員長はロバート・デ・ニーロ。審査員の好みによって結果が大きく左右されるためアメリカ人のデ・ニーロがアジア独特の静寂を伴う映画をどう理解するのかも気になるところ。(編集部・下村麻美)

9月より渋谷ユーロスペース、TOHOシネマズ橿原ほかにてロードショーほか全国順次公開

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