蒼井優、デビュー作『リリイ・シュシュのすべて』が女優としての原点!!「いい思い出であり、誇り」
17日、スペースFS汐留で日本映画チャンネル「日曜邦画劇場」500回記念スペシャル公開収録が行われ、この日に上映された映画『リリイ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督、女優の蒼井優が参加した。
このたび放送開始から10年、500回目という節目を迎えた本番組。フジテレビの軽部真一アナウンサーを番組支配人に迎え、一貫して映画を解説。かつて淀川長冶や水野晴郎が築いてきた映画放送の王道パターンを継承した番組となっている。500回目に映画『リリイ・シュシュのすべて』を選んだ理由として、「岩井監督の作品は新作が出るごとに拝見してきて、絶対に取り上げたいと思っていたんです。(本作は)公開から10年、番組の歩みと重なっていますし、監督にとっての代表作ということで選ばせていただきました」とコメントする軽部アナ。岩井監督も「スクリーンで観るの公開以来10年ぶり。改めて観ると、多くの人に支えられた映画なんだなと思って涙ぐみました」と感慨深い様子だった。
本作には、市原隼人、忍成修吾、勝地涼など、現在の映画界を支える若手俳優たちが参加。当時、ほぼ無名だった彼らは、この作品で無名であるがゆえにきらめくような輝きを見せている。そして女優の蒼井優にとっても、本作がデビュー作となる。もともと蒼井の役は原作のイメージとは違ったそうだが、オーディションで観た蒼井のポテンシャルの高さに「原作のイメージと彼女とは違っていたんです。脚本の大きな変更を余儀なくされましたね。これまで大きな内容の変更をしたのは、後にも先にも初めてでした」と振り返る。そしてその後、岩井監督は映画『花とアリス』、そして最新作の映画『バンパイア(原題)/Vampire』と3作で蒼井を起用することになるが、蒼井にとっても本作は「いい思い出であり、誇りですね。わたしの仕事はここからから始まったと思うと心強いです」と晴れやかな表情となっていた。
ちなみに日本とカナダ合作の最新作画『バンパイア(原題)/Vampire』は既に完成し、2月に第61回ベルリン国際映画祭で上映されたばかり。日本人としてその主要キャストの中で、唯一選ばれている蒼井について、「(彼女との出会いは)めぐり合わせに近いですね。これを(蒼井)優にやらせたら面白いだろうなと思うんですよ。型にくくりにくい女優ですね、器用なタイプでないけども、いろんなバリエーションで、一色ではない、いろんな個性がある気がします」と評する岩井監督だった。
最近は映画『ニューヨーク、アイラブユー』『バンパイア(原題)/Vampire』と海外づいている岩井監督だが、「日本を撮るのをやめたわけではないです。5年くらい撮っていないと日本が恋しくなりますね。まだイメージ段階ですけど、震災の後、なおさら今の日本を撮りたいという思いが強くなっていますね」と決意も固い様子。くしくも自身の故郷である仙台が被災したこともあり、「自分が若かったころに、青春時代を過ごした場所が地震や津波の被害にあってしまいました。でもこれからも若い子たちがあそこで、また青春を過ごすんだよなと考えされられたんですよ」と明かすと、「たまたまツイッターで、自分の身内や友人を知らないかという情報交換をしていて、ぼくも親戚や友達の名前を出したりしていたんです。そのときに自分の片思いの彼氏がいて、居場所が見つからない。探してほしい。でも自分の名前は言えないというようなツイッターが流れてきたんです。あの最中、仙台という街でそういう声があるのか、そういう花が咲くんだなと思って。一瞬はものづくりどころじゃないかったけど、そのときにふと、映画を作らなきゃと思いました」と力強く付け加えた。
「日曜邦画劇場」500回記念スペシャル『リリイ・シュシュのすべて』は5月8日夜9時より放送予定