核燃料再処理工場がある六ヶ所村が舞台、結婚を間近に控え被ばくした男女の悲恋…映画に映し出される核燃料問題
核燃料再処理工場がある青森県六ヶ所村を舞台に、そこで生きる男女の別れと再生を描き、2009年に劇場公開された映画『へばの』が再び上映され、同時に動画配信サイト「Ustream」でも配信されることが決定した。3月11日の東日本大震災以降、映画界では原発や放射能を題材にした『ミツバチの羽音と地球の回転』『100,000年後の安全』に注目が集まり、上映には多くの観客が足を運ぶなど話題となった。そんな中、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場を実際に訪れたスタッフにより製作された『へばの』が再上映され、いまだ予断を許さない原発問題を抱えるわたしたちに、「どのように生きるのか」を問い掛ける。
『へばの』は、六ヶ所村で生活する紀美と、核燃料再処理工場で働く治の愛を描いた物語。2人は結婚を間近に控えていたが、治が作業中にプルトニウムの内部被ばくに襲われる事故が発生する。将来は子どもをもうけ、新しい家族の幸せを思い描いていた2人だったが、被ばくしたことにより暗雲が……。今まさに原子力発電所の事故と向き合うわれわれにとって、決して人ごとではない物語が本作には映し出されている。
映画を通して何を選択し、何を大切にするのかなどを考える機会となるよう願いが込められ、再上映とUstream配信が決定した本作。日本を襲った過去に例のない大震災による影響はこれからも長く続き、被災した人だけの問題ではない。個人個人の考えや行動が復興には欠かせない力となるはずだ。(編集部・小松芙未)
映画『へばの』は5月15日、光塾 COMMON CONTACT 並木町にてモーニング上映、オーディトリウム渋谷にてレイトショー上映、各回共にUstream同時配信