演技派のマーク・ラファロが監督デビュー!オーランド・ブルームは、オアシスのギャラガー兄弟を参考にしたバンドのボーカルに挑戦!-トライベッカ映画祭-
今年のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた演技派のマーク・ラファロが、監督に挑戦した話題作『シンパシー・フォー・デリシャス / Symapathy for Delicious』について、現在開かれているトライベッカ映画祭(The Tribeca Film Festival 2011)で、出演者のオーランド・ブルーム、ローラ・リニー、そして主役を演じたクリストファー・ソーントンとともに語った。
マーク・ラファロ監督映画『シンパシー・フォー・デリシャス』場面写真
同作は、事故で下半身がまひしてしまい車イス状態にある元DJディーン(クリストファー・ソーントン)は、ある日自分には他の人間の病気を治癒する能力を秘めていることに気付き、神父ジョー(マーク・ラファロ)との出会いを通して、その力を体の不自由な人々に発揮しようとするが、現況に満足しきれなかったディーンは、富と名声を得るためにリーダー、ステイン(オーランド・ブルーム)がボーカルを務めるロックバンドに加わってしまう。ローラ・リニーは、バンドのマネージャー役を演じている。
今回、主演して脚本も執筆したクリストファー・ソーントンは制作経緯について「(クリストファーは25歳のときに、山登りで落下して下半身をまひさせてしまった)事故の後で、幸運にもいくつか俳優の仕事を依頼されていたが、僕は俳優として生計を立てていくことに苦労していたんだ。それは、車イス状態の僕の役はほとんど限られた小さな役ばっかりだったからね。そこで、僕はもっと重要な役に挑戦したいと思い、脚本を書き始めたのがこの作品なんだ」と語った。ちなみに、彼が脚本を執筆していた当時にルームメイトだったのが、この映画の監督を務めたマーク・ラファロであった。
その渡されたクリストファーの脚本についてマークは「渡された脚本は197ページで、そのすべてのページは行間をほとんどあけていないまま、ぎっしり文字が打たれていて、普通の脚本のようにスペースをあけていたら、およそ250ページ分くらいはあったと思う。読んだ脚本は、ものすごくオリジナルな作品に感じられたんだ。まず、主体にある車イスの男が精神を治癒していくプロセスが気に入ったんだ」と脚本に惚れ込んだことを明かし、さらに監督業については「僕は、その脚本を渡されるまで、舞台の監督を頻繁にやっていたし、(この映画の題材となる)ホームレスのシェルターが近くにあるL.Aのダウンタウンに住んでいて、ホームレスに食事を提供したこともあり、さらに過去にはギターの店やロックのバーなどで働いていたため、ロックバンドや音楽にも詳しかったんだ」とこの映画を制作する準備はすでに整っていたそうだが、制作までにはおよそ10年もの月日がかかったそうだ。
アクの強いキャラクター、ステインを演じるオーランド・ブルームは「この役は、心の中の悪魔が表に出てきたようなキャラクターなんだ。演じる上で実際に参考にしたのは、オアシスのリアムとノエル・ギャラガー兄弟で、彼らは自分が世界中でベストのバンドだと信じていて、もしそんな我々を知らないなら、知るべきだというような少し傲慢な態度を持っていて、そんな態度がこの役にはぴったりだったんだよ」と述べたオーランドは、さらにストーン・ローゼスのイアン・ブラウンも参考にしていたことも教えてくれた。
最後にローラは、この映画で彼女が演じているマネージャー役のニーナのヘアスタイルが特徴的で、そのヘアスタイルのおかげで、うまくマネージャー役に入り込めたそうだ。映画は、俳優としても参加している監督マークが、それぞれの俳優の特徴をつかみながら、のびのびと演技をさせているように思え、個性的なキャラクターが興味深い映画に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)