日本赤軍の女性リーダー、重信房子とその娘、メイを追うドキュメンタリーがロンドンで上映「日本では赤軍派といえば悪者扱い」と同情
イギリスはロンドンで開催された第10回イースト・エンド映画祭で、シェーン・オサリバン監督の映画『チルドレン・オブ・ザ・レボリューション(原題)/Children of The Revolution』のイギリス・プレミアが開催された。本作は、1970年代に世間を騒がせた、別々のテロ組織の女性リーダー2人と、その娘たちを追ったドキュメンタリー。
ドイツ赤軍とも呼ばれるバーダー・マインホフ・グループの女性リーダー、ウルリケ・マインホフをその娘ベティナが語り、元日本赤軍の最高指導者、重信房子について娘の重信メイが語るという構成の本作。母としての彼女たちの素顔を探ると同時に、当時のニュース映像や、接した人々のコメントも交え、世間での悪名高い2人の女性を、立体的に描く作品となっている。
日本とドイツで、ほぼ同じ時代にテロ事件を起こした両集団だが、そのリーダーの娘たちがたどった運命はそれぞれだ。マインホフの活動が本格化するのは、彼女の離婚後のことだった。はじめは母に引き取られたベティナは、後に出版社の経営者で雑誌編集長でもある父のもとに移り、ニュースを通じて母の動向を知るのみとなる。一方、母の活動の最中に生まれ、母とそのグループの中で育てられたメイは、その後、知人家族に預けられ、時々母と会いながら偽名と偽の身分証明を使い学校に通った。パレスチナの活動家だった父親の名前は、反対勢力からの攻撃を避けるため、今でも明かされていない。上映後、観客に囲まれたオサリバン監督は、長い期間、無国籍のまま偽名を使い暮らしたメイに同情する意見に対し、「日本では、赤軍派といえば悪者扱いだしね」とコメントし、共感を示した。
マインホフは1976年に獄中で自殺している。元は人気ジャーナリストでもあったマインホフは、今でも彼女に宛てたファンレターが届くというほど、一部の人々の間で、英雄視されているようだ。房子は日本に帰国後、逮捕された。東京で懲役20年の判決が下り、現在、服役中。メイは足しげく面会に訪れているという。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)