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45年ぶりの快挙!カンヌ短編コンペティションに選出の新たな才能を直撃!

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目下の目標は卒業!? の田崎恵美監督
目下の目標は卒業!? の田崎恵美監督 - Photo:Harumi Nakayama

 第64回カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門で、田崎恵美監督『ふたつのウーテル』が上映された。同部門に日本作品が選ばれたのは、日本の古典芸能の「能」を紹介する村山英治監督『Noh Drama』(1966)以来、実に45年ぶりの快挙。残念ながら受賞は逃したが、日本の新たな才能が世界デビューを果たした。

 田崎監督は、お茶の水女子大学文教育学部に在学しているが、創作活動に興味を抱き、映画製作の活発な早稲田大学映画研究会に所属。自主映画制作に励んでいる。2009年の『アンナと二階の部屋』では、若手監督の登竜門と呼ばれる第32回ぴあフィルムフェスティバルでエンタテインメント賞(ホリプロ賞)と企画賞(TBS賞)をW受賞し、公益財団法人ユニジャパンが行っている、若手映像クリエーターを対象とした映像制作プロジェクトへの応募資格を獲得。審査の結果、企画が採用された10人の中の一人に選ばれ『ふたつのウーテル』を製作した。思わぬ出会いを果たした異母姉弟のロードムービーで、15分の作品。製作費は150万円。6日間で撮影した。

 本作について田崎監督は「今撮りたいテーマを考えたとき、わたし自身会ったことのない家族がいて、それって面白い関係だなぁと思って。家族って、優しく自分を愛してくれる存在だけではない。きっと自分と同じような境遇の(一部の)人にとっては、時として負の感情をかきたてられる存在なのでは? でもその存在も、自分が生きていく上で大切なのではないか? ということを伝えたいと思った」と語っている。ちなみに、同部門の今年の審査委員長は映画『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリー監督が務めた。映画祭会期中には同部門出品監督との食事会なども設けられ、親交を深める場もあった。「皆、やる気がみなぎっている感じで、それぞれ強烈な人たちばかり。私も負けられないと思いましたね」と監督。彼らとの出会いは、大いに刺激となったようだ。

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 今後も映画製作を続ける予定という田崎監督だが、その前にやらなければならないことがある。大学を無事に卒業することだ。「実は授業料を払えていなくて。2年休学しアルバイトをしていたので、今は5回生。大学は7年目になります」と苦笑する監督。「お金もないのに、さらにアルバイトをして自主映画作りをしているのも矛盾しているのですが。でも、不可能を可能にします! 卒業します!」と意気込みを語った。

 ひとまずは学業に専念してもらいたいところだが、期待の新鋭を映画界が放っておくはずもなく、『ふたつのウーテル』はカンヌに引き続き、5月25日~29日に開催されたドイツ・ハンブルグ日本映画祭や第1回映画太郎(6月23日~27日、シネマート六本木)での上映など、国内外の映画祭から続々オファーが届いている。田崎監督にとっては悩ましい日々となりそうだ。(取材・文:中山治美)

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