生か死か?岩に片腕挟まれ決死の127時間をビデオで実況!究極の選択をした実在の人物像とジェームズ・フランコの葛藤
誰一人周りにいない断崖で右腕を挟まれ、身動きができない状態から生還した実在の男性アーロン・ラルストンの実話を基にした映画『127時間』で、アーロンを熱演したジェームズ・フランコが、本人と初めて会ったときの様子や、事故現場で撮影された映像を観たときの思いなどを語っている。
アーロンに最初に会ったのはロサンゼルスのホテルで、ダニー・ボイル監督も一緒だったというジェームズ。その時アーロンはジェームズに「何でこの役をやりたいんだ?」とストレートに質問した。それに対しジェームズは、極限の状態に追い込まれた人間の「人間関係や日々の暮らしでのささいなことなどがすべて排除され、本当の自分を知ることができる」状態や「社会でうまくやっていくためにかぶっていた殻を脱ぎ捨て、生きることへの欲望や死について考える」状態を演じるためと回答。しかしアーロンは、自分の置かれた状況を演じるにあたって、表現するべきはそこだけじゃないと、彼の意見を否定した。アーロンは、常にカメラを通して、誰かとつながっていたと言うのだ。
劇中、身動きができなくなったアーロンは、持っていたビデオカメラで、現場の様子や家族をはじめとする親しい人々への別れのメッセージを収録する。これはアーロン本人が実際に行っていたことだ。本物の映像を見せてもらったというジェームズは、「言葉では言い表せない」とその感想をコメント。死の覚悟を受け入れた人間の映像は、よっぽど強烈だったようだが、出演にあたって「その場から逃げられない恐怖を体験しておく必要があった」と考えていた彼にとって大変役に立ったようで「役者として最高のアドバイスをもらったよ」と語った。このカメラの存在が、アーロンと外の世界をつなぎ、彼に生きることをあきらめさせなかった、原動力となったのだ。
こうしたアーロンとのディスカッションを経て、いわく「誰にも発見されず、死ぬかもしれないという本物の恐怖」と共に、1人ぼっちの絶望の状況で、人間は自分だけでは生きていけないことに思い至るという、深みある演技を披露したジェームズ。本作でアカデミー賞ノミネートを果たした裏側には、アーロンとの会合での経験が、大きな助けになったのは間違いないだろう。
ぜひ来日して、さらに深く本作について語って欲しかったジェームズだが、サム・ライミ監督と久々に組む新作の準備のためか、それは叶わなかった。本作では、来日できないジェームズの穴を少しでも埋めようと? 劇中の彼の姿をデフォルメしたぬいぐるみ「フランコちゃん」が来日し、観光中に迷子になってしまったという設定の、「公開記念!127時間以内にフランコちゃんを探せ! キャンペーン!」を展開している。これは公式ツイッターやブログのヒントをもとに、日本のどこかにいる「フランコちゃん」人形を見つけ、証拠写真を添付し必要事項を明記したメールを送ると、先着順で人形本体や映画オリジナルグッズがもらえるというもの。6月13日から開始されており、期間は18日午後5時までの「127時間」となっている。(編集部・入倉功一)
映画『127時間』は6月18日より公開予定