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御年87歳!宮崎駿に影響を与えた孤高の作家フレデリック・バックが来日!一時は来日が危ぶまれるも、本人の強い希望により実現

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フレデリック・バックと高畑勲
フレデリック・バックと高畑勲

 1日、江東区の東京都現代美術館で開催される「フレデリック・バック展」開会式が行われ、御年87歳のフレデリック・バック本人が来日を果たし、本展覧会の実現を願っていた高畑勲監督らと再会し、喜びを分かち合った。高齢のため、一時は来日を見合わせるという話も出たというが、フレデリック本人の強い希望により今回の来日が実現した。

 映画『クラック!』『木を植えた男』と2度のアカデミー賞を受賞した孤高のアニメーション作家フレデリック・バック。本展覧会は、フレデリックが手掛けた、日々の暮らしや旅の記録などの膨大なスケッチ群と、九つのアニメーション作品の原画など、およそ1,000点にもおよぶ作品を紹介することにより、バックの活動の全容を紹介するという試み。

 アトリエ・フレデリック・バック副社長で、バックの息女であるスーゼル・バック=ドラポーさんは「わたしの父は、『木を植えた男』の主人公エルゼアールのような、辛抱強く、私利私欲のない人です。この展覧会は彼にとって、自らの仕事を振り返り、それがいかに大きな森になったかを確認する機会となりました。これは彼の長いアーティスト人生の最後に贈ることができる最良のプレゼントです」とあいさつ。フレデリックは高齢であるため来日することは直前まで無理だといわれていたらしく、スーゼルさんが「今回の来日が実現したのは、ホームドクターが日本に行くことに快く同意してくれたからです」と明かすと、会場の隅で見守っていたホームドクターに対して大きな拍手が起きた。隣にいた高畑監督も「この展覧会が実現できて感激しています。しかも本人がいるなんて夢みたいですよ! バックさん、ありがとうと言いたい」と感激していた。

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 さらにスーゼルさんは「60年もの間、自宅の地下に保管されていた5,800点もの未発表作品を世の中に紹介しようというアイデアを出したのは母のギレーヌでした。彼女は2007年から半身不随ですが、彼女の思いはわたしたちと共にあります」と紹介。展覧会でも、経済的に恵まれないバックを愛情たっぷりにサポートしてきたギレーヌさんの新婚時のエピソードが紹介されており、いかなるときもバックの理解者であったギレーヌさんの愛情が、今回の展覧会を実現させる要因のひとつであることは間違いなさそうだ。

 車椅子で登場したバックは、しかし力強い声で「この瞬間を皆さんと共有することができて、感動しています。この展示は、ひとつの人生の理想と仕事を俯瞰(ふかん)したものであり、発見と情報、平和と命ある世界に敬意を表し、希望を失った、破壊的な欲望からの解放を示すものであります」とあいさつ。さらに、「日本を敬服していたわたしの師匠のマテュラン・ネウ氏が言っていたように、世の中には常に学ぶこと、発見と驚きがあります。また皆さんを取り囲む素晴らしくも、もろい生命が生き延び、未来の世代のために、豊かにさんぜんと再生するように。何かを作り直すことに、事欠かない世界を大切にしてください」とメッセージを送った。

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 本展覧会を見れば、自然や動物を愛したバック氏の力強いメッセージを感じることができる。アカデミー賞を受賞した『木を植えた男』では5年半かけて、2万枚にもおよぶ作画を一人で行ったことはよく知られているが、本展覧会でもその精密さが確認できる。まさにバックが高畑監督の『ホーホケキョ となりの山田くん』や、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』といった作品に多大なる影響を与えたであろうことは想像に難くない。まさにジブリファンやアニメファンのみならず、多くの人たち必見の展覧会となっている。(取材・文:壬生智裕)

展覧会「フレデリック・バック展」は7月2日より東京都現代美術館で開催

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