時代と共に変化する闘うヒロインたち 『エイリアン』『ニキータ』から『ソルト』までを検証!
現代社会でも、スクリーンでもどんどん強くなっていく女性たち。アクション映画でヒロインが活躍するようになった1980年代を振り返りつつ、パワフルさもセクシーさもグンと上昇した現在の闘うヒロインたちの特徴を探ってみた。
闘うヒロインがまだまだ珍しかった1970年代。しかし1970年代後半から1980年代にかけて、社会では女性が男性と肩を並べるようになり、テレビドラマ「チャーリーズ・エンジェル」がお茶の間をにぎわせるようになると、映画界にもタフなヒロインが登場した。映画『エイリアン』と映画『グロリア』だ。期せずして戦いに巻き込まれた『エイリアン』のシガーニー・ウィーヴァーと『グロリア』のジーナ・ローランズだが、ちょっぴりセクシーさを醸し出しつつ、肉体的にも精神的にも男顔負けの強じんさを誇る新ヒロインに観客たちは拍手喝采(かっさい)。今では、この2本は闘うヒロインの金字塔となっている。
そして、1990年代になると闘うヒロインを主役にしたアクション映画が急増。今日までに、生きることがすなわち闘うことと直結するアグレッシブなヒロイン像が一般的になり、ヒロインのアクションはよりド派手なものへと変化を遂げる。クールなすご腕女スナイパーが活躍するリュック・ベッソン監督の映画『ニキータ』やそれをハリウッドでリメイクした映画『アサシン』、アメリカ海軍のエリート候補をデミ・ムーアが体当たりで演じた映画『G.I.ジェーン』も現代の闘うヒロインの系譜に連なるだろう。
孤軍奮闘するヒロインばかりではない。例えば最近では、仲間とのチームワークが見どころでもある映画『ファンタスティック・フォー』『X-MEN』の両シリーズでは女性メンバーが存在感を見せ付け、映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』ではヒロインがヒーローと共に冒険や闘いに果敢(かかん)に挑んでいる。かつての『007』シリーズのボンド・ガールのような、ヒーローのそばでスクリーンを彩るだけのヒロインの時代は、もうすっかり遠い昔になったのだ。
また、難易度の高いアクションシーンでもスタント任せにせずに、女優自身がハードなアクションにチャレンジすることも多いハリウッド。映画『バイオハザード』シリーズの最新作、映画『バイオハザードIV アフターライフ』のヒロインは、二丁拳銃に二刀流と武器を巧みに使いこなして死闘を展開。敵をバッタバッタと倒していく姿は、映画『フィフス・エレメント』『ウルトラヴァイオレット』とアクションならお任せのミラ・ジョヴォヴィッチだけにさすがにサマになっている。映画『トゥームレイダー』シリーズのララ・クロフト役でアクションに開眼したアンジェリーナ・ジョリーも、最新作の映画『ソルト』ではビルの壁を伝ったり高架上から落下したりとアクション指数は相変わらず高め。女優本人が体を張ってアクションに挑むとなると、観客の興奮度も高まるというものだ。
ヒロインが強いのは当たり前となった今、スクリーンでは闘うヒロインの活躍の場が増えていき、女優は男優並みのトレーニングを受けてアクション演技をこなすようになった。何より、強敵をなぎ倒すヒロインの勇姿は痛快。ヒロインが活躍するアクション映画を観て、この夏はそう快感を味わってみるものいいかもしれない。(岩永めぐみ)
映画『バイオハザードIV アフターライフ』は7月23日午後4:15よりWOWOWにて放送。