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父・宮崎駿と息子・宮崎吾朗の激闘!10か月にわたる父子の戦いを追う『コクリコ坂から』制作の裏側に密着!

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(上)絵コンテを描きながらも、鉛筆が進まない宮崎吾朗(下)吾朗の絵を前に苦悩する宮崎駿
(上)絵コンテを描きながらも、鉛筆が進まない宮崎吾朗(下)吾朗の絵を前に苦悩する宮崎駿

 7月16日より公開されているスタジオジブリの最新映画『コクリコ坂から』の制作現場に密着したドキュメンタリー「ふたり『コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾朗~』」が8月9日にNHK総合にて放送される。宮崎駿が企画・脚本を担当し、宮崎吾朗が監督を務めた本作には、作品からは決して見えない父子の衝突や葛藤(かっとう)があった。そのすべてを10か月にもわたる取材からたどり直す、もう一つの「コクリコ坂から」だ。

映画『コクリコ坂から』場面写真

 「ふたり」は、2人の人物を主人公に、そのきずなを描く新しいドキュメンタリーシリーズ。今回スポットが当てられるのは、映画『コクリコ坂から』が公開されたばかりの宮崎駿と宮崎吾朗の父子だ。日本を代表するアニメーション作家である父は、映画『ゲド戦記』で同じくアニメーション監督の道を歩み始めた息子を認めていなかった。そんな決して良いとはいえない雰囲気からスタートした映画づくりの現場を10か月にわたって密着した本番組は、父子の葛藤(かっとう)をこれでもかといわんばかりに映し出している。

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 とりわけ、主人公「海ちゃん」のキャラクター設定をめぐって始まった父子の議論は、「戦い」というほかに呼び方が見つからないほど激しいもの。とうに還暦を過ぎながらも、アニメに対して飽くなき情熱をかたむける父・駿のこだわりは、息子が相手だからといって甘くなるわけではない。立ち向かう息子・吾朗も、父と比較されることは承知の上でアニメに向き合っている。それは「父子の物語」というありがちな売り文句では到底表現し切れるものではなく、制作途中に公開延期の危機が訪れたというのも納得の意地と意地のぶつけ合いだ。

 そして、3月に起こった東日本大震災は、映画の制作現場をもがけっぷちの状況に追い込んだ。だが、幾度もあった危機同様、大災害をも乗り越えることができたのは、父と子、お互いの思惑はあろうとも、「映画を創る」という共通の目標を2人、そしてスタッフ全員が共有していたからこそ。完成した映画からは決してうかがえない出来事を丁寧に追った今回のドキュメンタリーは、製作側はこのように呼ばれることに抵抗を覚えるかもしれないが、まさにもう一つの「コクリコ坂から」と呼ぶほかのない出来栄えとなっている。

 宮崎吾朗監督のデビュー映画『ゲド戦記』で父・宮崎駿は原案という形で関わってはいたものの、実質的に父子の共作といえる作品は今回の『コクリコ坂から』が初めて。すでに映画を観ている人は、このドキュメンタリーで初めて、何気ないあのシーンの裏側に父子の戦いがあったことに気付くはず。そして、再び映画を観るときには、初見時とはまったく異なる印象を受けるに違いない。優れたドキュメンタリーがそうであるように、本作も『コクリコ坂から』の世界の見方を一変させてしまうインパクトを持っている。(編集部・福田麗)

ドキュメンタリー「ふたり『コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾朗~』」は8月9日午後7時30分~8時45分にNHK総合にて放送

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