「フレデリック・バック展」で山口智子&鈴木プロデューサーが対談!!『崖の上のポニョ』での山口の起用理由は息継ぎの仕方?
3日、「フレデリック・バック展」を開催中の東京都現代美術館にて、女優・山口智子とスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーのトークイベント「話をする二人」が開催され、鈴木プロデューサーが『崖の上のポニョ』で山口智子を起用した理由など、過去のスタジオジブリ作品の制作秘話を明かした。
山口を『崖の上のポニョ』のリサ役で声優に起用して以来、メールでおすすめのDVDを教え合うなど交流を続けていたという山口と鈴木プロデューサー。鈴木プロデューサーは、「候補に挙がった人たちはしゃべり方がみんな同じに聞こえた。山口さんの声を聞いたときに、宮崎とわたしで『この人がいい』と意見が一致した。山口さんだけ息継ぎが違った」と山口の起用理由を明かすと、過去のスタジオジブリ作品の制作秘話を、200名の観客を前に、1時間に及び次々と披露していった。
まず、宮崎は、シナリオを書かずに絵コンテを書いていき、映画を作っていくことを明かした鈴木プロデューサーは、映画『ハウルの動く城』のときには、宮崎に「ハウルとソフィーはこの先どうなるんだろう?」と聞かれ、「一緒に暮らすってのはどうでしょう?」と答えると、それがそのまま映画の結末になったと話した。さらに、映画『千と千尋の神隠し』では、最初はカオナシが登場していなかったことを明かし、「当初考えていたシナリオでは上映時間が3時間を超えてしまう。そこで、ストーリーにカオナシを出したことによって、今日の映画になった」と映画の中でひときわ異彩を放っていたカオナシの意外な登場秘話を語った。なお、この日のイベントでは、鈴木プロデューサーが宮崎監督の新作が自伝になることを発表し、大きな話題となった。
「フレデリック・バック展」では、映画『クラック!』『木を植えた男』で2度のアカデミー賞短編アニメ賞を受賞し、宮崎駿、高畑勲も影響を受けたというカナダのアニメーション作家フレデリック・バックの作品を1,000点にも迫る規模で展示した展覧会。山口は「木を植えるにしても苗木を用意しなきゃならないとか思っていたんですが、ちょっと変えていくことで良いんだ、今からでも遅くないんだと思わせてくれました」、鈴木は「バックさんがここまでたどり着くまで、長い時間がかかっている。さまざまな人や作品に影響を受けてできた道を一堂に見られる展覧会なのでぜひ見に来てほしい」とそれぞれ同展覧会をアピールしていた。なお、東京・神保町シアターでは、「フレデリック・バックの映画」と題し、フレデリック・バックの制作した全4作品の上映が行われている。(編集部・島村幸恵)
「フレデリック・バック展」は東京都現代美術館にて10月2日まで開催中
「フレデリック・バックの映画」は東京・神保町シアターにて10月2日まで公開中