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AV界の伝説…平野勝之監督の1990年代のAV作品に元AV女優も思わず涙

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後列左から、東良美季、平野勝之監督 前列左から岩井志麻子、小室友里
後列左から、東良美季、平野勝之監督 前列左から岩井志麻子、小室友里

 23日、新宿のLEFKADAで映画『監督失格』公開記念トークイベント「AV監督失格!Vol.2 ヌケないAV監督からパンクドキュメンタリスト誕生までの軌跡」が行われ、平野勝之監督のほか、作家の岩井志麻子、元AV女優でタレントの小室友里、作家でAVライターの東良美季らが、平野監督の11年ぶりの新作『監督失格』の原点とも言える1990年代AVについて濃密なトークを繰り広げた。

映画『監督失格』場面写真

 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの庵野秀明の実写映画初プロデュース作となるドキュメンタリー映画『監督失格』が話題の平野監督だが、彼がAVメーカー「V&Rプランニング」で1990年代に発表してきたAV作品は、現在でも伝説的に語り継がれており、映像を志す若者たちに多大なる影響を与えてきた。それらの知られざる傑作をみんなで一緒に鑑賞しよう、という趣旨で開催された本イベントもこの日で2回目。第1回目は、クライマックスに女性に向けて花火を浴びせたり、下水道の中でカラミを撮影したりと、パンキッシュで破壊的な衝動が爆発した平野初期AV作品を鑑賞してきたわけだが、今回は一転、「由美香」から始まる自転車三部作、そして『監督失格』へと直接つながるような世界観を持つ、ドキュメント的要素の強い作品が多数紹介された。

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 今回のイベントで鑑賞したのは、台風による横殴りの激しい雨風に打たれながらカラミのシーンを撮影する「SEXレポート No.1 美人キャスターの性癖」。当時、人気絶頂だったAV女優・小室友里と本職の痴漢軍団を組ませ、サム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」風のカット割りで撮影した痴漢劇と、AV男優の加藤鷹、平本一穂、そして小室のプライベートの三角関係が赤裸々に暴露される「聖☆痴女 小室友里」。さらには、トップAVアイドル小室友里という虚像をはがすためにクライマックスで小室に激しい花火を浴びせ、ファンから非難ごうごうだったという小室の引退作「Last Secne Yuri Komuro」。この引退作はトップアイドルの小室が業界の異端児・平野監督を指名したことで話題となった。「最初は(女優を極限まで追い込む平野監督が)ものすごく大嫌いになるんです。でもこれを乗り越えると、ほかの監督では撮れない素の表情を撮ってもらったことに気づいて、これが素の自分なのかもしれない、平野勝之はすごいと思うようになるんです。そこから女優はラブになるんですね」と数多くの「女優」たちから熱いラブコールを受ける平野作品の魅力を語る小室だった。

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 続いてイベント後半に上映されたのは、親に内緒でAVの仕事をしているスタッフが、AV女優を連れて実家に帰省。親にAVの仕事をしているとカミングアウトさせ、涙を流す親がいる実家でカラミの撮影をしてしまう「プライバシーゼロ 秘密ライフ」ほか、虚実がないまぜとなる1990年代AVの金字塔「わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ」など。最後の「わくわく~」は、110分の作品の約半分で女優の姿は画面から消え、残りは別のAV女優、女装をした井口昇監督などが志方を演じるという異色作品だったが、クライマックスは会場に深い感動を呼び起こしたようで、小室は「平野マジックにハマッてしまいました。おかしいな、これAVだよな、と思ってしまうのに、ついついそういうのを忘れてしまいますね」とコメントしつつ、その瞳からは涙がこぼれていた。

 本特集は9月に第3弾を予定。平野監督と一緒に、実際に『監督失格』を観た鑑賞者限定で語り合うトークバトルとなる予定だという。(取材・文:壬生智裕)

映画『監督失格』は9月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて独占先行公開

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