スタジオジブリ作品の効果音はアナログな手作り!足音もキャラごとに違う効果音のこだわり!
最新作『コクリコ坂から』が公開中のスタジオジブリ作品の効果音制作のこだわりが明らかになった。本作の手嶌葵 が歌う主題歌「さよならの夏~コクリコ坂から~」など、映画を彩る楽曲も注目を集めるスタジオジブリ作品だが、コロッケを食べる音、切符を切る音、市電の走る音、床を歩く音など、効果音にもさまざまなこだわりが込められているのだという。
まず、『コクリコ坂から』に登場する主人公の海と俊がそろってコロッケを食べるシーンでは、実際に宮崎吾朗監督がスタジオで揚げ物を食べて効果音を収録。見事コロッケをかじったときの歯切れの良い音が映画を彩った。また、桜木町駅で切符を切る音を収録する際も、制作スタッフが実際に改札ばさみを購入。自らの台本に穴を開ける音が、映画の切符を切る音になったのだという。まさに手作り感あふれる本作での効果音へのこだわり。市電のシーンでは、実際に市電が走る広島まで足を運び、市電が発するさまざまな音を収録したという。
また、“手作り感”以外にも、スタジオジブリ作品の効果音にはこだわりがある。例えば『コクリコ坂から』では、海の自宅兼下宿屋である「コクリコ荘」、映画に登場する文化部の部室棟「カルチェラタン」を歩く際に鳴る床の音。海は「トントントン」、妹の空は「バタバタバタ」というように、足音でもキャラクターの性格を表し、それぞれのキャラクターによって、微妙な違いを表した。
さらに、『コクリコ坂から』に登場する音には、お遊びも。3回登場する縦笛のシーンで、1度目はドレミファソラシドの1オクターブの上のドが吹けていなかったのが、2度目では吹けるようになり、3度目に挿入歌「紺色のうねりが」をなめらかに演奏するという演出が、スタッフの遊び心により挿入されているのだという。
1963年の横浜を舞台に、海と俊の出会い、高校で巻き起こった騒動、戦争と戦後の混乱期に青春を過ごした親たちがどう出会い、愛し、生きたかなど、古き良き日本の物語をさわやかに描いた『コクリコ坂から』。本作の効果音に耳をすませ、子どもの頃から慣れ親しんできたスタジオジブリ作品に、“効果音”に着目して思いをはせてみるのも一興だ。(編集部・島村幸恵)
映画『コクリコ坂から』は全国公開中