コーエン兄弟のカルト作品『ビッグ・リボウスキ』のキャストが再集結!ファンも大熱狂のイベントとは?
ジェフ・ブリッジスが1998年に主演したコーエン兄弟のカルト作品『ビッグ・リボウスキ』が、この度ブルーレイとして発売されることになり、その発売を記念してニューヨークのハマースタイン・ボールルームでキャストのリユニオンが開催された。そして、同作に出演したジェフ・ブリッジス、ジュリアン・ムーア、ジョン・タートゥーロ、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェミ、そして音楽を担当したT=ボーン・バーネットが参加して、それぞれ過去を振り返った。
同作は、湾岸戦争のころのロサンゼルスを舞台に、“デュード”ことジェフリー・リボウスキ(ジェフ・ブリッジス)は同姓同名の富豪と間違えられて暴漢に襲われ、さらに家の絨毯に小便をかけられる。そこでデュードは絨毯の弁償代を求めて、同姓同名の富豪“ビッグ・リボウスキ”の家を訪れたが、すげなく追い返される。ところがある日デュードは、ビッグ・リボウスキから誘拐された彼の妻バニーの身代金の引き渡しをしてほしいと頼まれ、依頼を引き受けたデュードは、思わぬ展開に巻き込まれていくというコメディ作品だ。
まず今回のQ&Aの口火を切ったのは、小心者のサーファーで、デュードのチームメイト、ダニー役を演じたスティーヴ・ブシェミだった。「僕はこの脚本を渡されたときに、一体誰がこんな小心者のダニー役を演じたいのか?と思ったよ。ただ、ジョン・グッドマンが演じたウォルターとの関係が面白くて、徐々にこの役ダニーを好きになっていったんだ。そんなダニーとウォルターの関係は、まるでテレビドラマ『ギリガン君SOS』のギリガン(ボブ・デンヴァー)とスキッパー(アラン・へイル・Jr)の関係に似ていると思うんだ」と明かし、さらに彼は「この役ダニーは映画内ではすでに亡くなっているが、もしかしたらダニーは、ウォルターの想像の世界だけで生きている人物なのかもしれない(笑)」と勝手な持論も展開して、観客を笑わせていた。
次に、過去に性犯罪を犯した少年愛好者で、さらにボウリング大会ではデュードたちの対戦相手となるジーザス役を演じたジョン・タートゥーロは「この映画に出演したことが原因で、僕が演じたジーザス宛で性的なことを要求するようなE-mailが、男女を問わず頻繁に僕のもとに送られてきて、中にはジュリアン・ムーアとジェフ・ブリッジスたちへの性的な要求もあったくらいなんだ」と役柄を通して苦い体験をしたことを明かした。
ビッグ・リボウスキの娘、モード・リボウスキを演じたジュリアン・ムーアは「わたしは当時(撮影中に)妊娠していたの。だから、その時はほとんど体調が良くなかったの。でも、そんなわたしに対してジェフは忍耐強く接してくれたり、笑わせてくれたり、それにプロの俳優としてしっかり支えてくれたわ。それと、彼はよく自分のトレーラーの中でギターを弾いていたわね」と良い思い出として残っているようだ。
そして、ウォルターを演じたジョン・グッドマンは「これまで出演した映画の中で最も楽しかった撮影だった。だから自分が出演していない日でさえも、セットに居たこともあったよ!」とコーエン兄弟と何度も仕事をしたことのある彼にとっては、居心地の良い場所だったのかもしれない。
これまで司会者がキャストに質問する度に、ファンが『ビッグ・リボウスキ』の映画内の台詞を叫び、ろくにキャストの声が聞こえない状態になっていたが、突如、業を煮やしたジェフ・ブリッジスがインドの瞑想を導くように観客にさせて、一挙に黙らせてしまった! その行為は、この映画のキャラクター、“デュード”が、ある意味ファンの間で神格化した瞬間に思えた。
最後に、T=ボーン・バーネットはミュージシャンとしてのジェフ・ブリッジスを評価していた。今回のイベントは大盛況で、外に長蛇の列ができるほどだった。きっと、ファンにとっては素晴らしいイベントだったのかもしれない。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)