日本でもカリスマ的人気!チェコアニメの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエル監督が来日「妄想が尽きないうちは創作も終わらない」
27日、チェコ・アートアニメーションの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエル監督が、最新作『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』公開に合わせて来日、初日舞台あいさつを行った。唯一無二、魔法を思わせる作品世界で知られるヤン監督だけに、会場の渋谷シアター・イメージフォーラムには熱心なファンが詰めかけ、映像の魔術師の姿を直にし、一挙手一投足を見逃すまいと目を光らせた。
映画『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』写真ギャラリー
9月4日で77歳になるヤン監督は、青のシャツに黒のジャケットをまとって現れ、立ち見も出た満員の場内に万雷の拍手で迎えられる。夢についての映画である新作についてヤン監督は「想像力がテーマの映画で、観る人たちにも想像力を要する映画です。観たみなさんが解釈するのが必要になる映画ですが、どのように解釈してもその解釈はすべて正しいのです」と鑑賞にあたってのポイントをコメント。「現代の文明は夢を軽視しているが、かつての詩人たちを思い出してもらえば分かるように昔はそうではなかったし、夢の軽視は人生を貧しくします。夢というのは純粋な想像力でありそれは創造力へとつながり、芸術家にとっては創造の源泉だと思います」とも語り、シュルレアリストである監督らしく、作品の判断・解釈は自由に観客へゆだねると話していた。
また、ヤン監督は「わたしはある種の妄想や執着にとりつかれていて、そこから解き放たれる過程がわたしの創作であり、自己セラピーにもなっている。妄想がなくならないうちは創作を続けるし、終わることはないと思う」と語り、老いてますます盛んとばかり、映画にとどまらず創作活動全般の続行に強い意欲を見せていた。
映画『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』は鬼才ヤン・シュヴァンクマイエル監督5年ぶりとなる最新作。実写と写真を組み合わせたアナクロ的アニメ手法で独自の映像世界を作り出し、夢の中でしか会えない美女にとりつかれた、うだつのあがらない中年男の姿を描く。2010年ヴェネチア国際映画祭プレミア上映作品。(取材・文:長谷川亮)
映画『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』は8月27日より渋谷シアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開