「007」新作、列車のアクションシーンがインド政府の要請で変更に
ロケーションの一部がインドで行われる予定の映画『007』シリーズ最新作で、インド政府から製作陣に対し、列車のアクションシーンの設定を書き直すよう要請があり、製作側もこれを了承した。
問題のシーンは、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが、運行している列車の屋根にバイクから飛び移るアクションシーン。書き直される前は、列車の屋根に大勢の乗客が乗っていたが、インドでは屋根への乗車は違法で、間違った印象を与えかねないとして変更が要請されたという。設定の変更によって、屋根に乗るのはボンドだけとなり、乗客はすべて車内にいる形になった。
インドでは、列車は国民に最も親しまれている交通手段のひとつ。のんびりと数日をかけて長距離を移動する旅も、広大な国土を持つインドならではの魅力として知られているが、一方で、運賃を浮かすための不法な屋根乗車も少なくない。ガーディアン紙(電子版)によると、インド鉄道省のディネシュ・トリヴェディ大臣は、「インドでは屋根への乗車は違法であり、勧められるべき行為ではありません。インド国内には多くの列車が運行していますが、すべての列車で屋根乗車があるわけではありません」と語っている。鉄道の姿がボンド映画のような大作で描かれることはインドにとって大きな宣伝効果となるだけに、トリヴェディ大臣は、「ボンドには、インドの鉄道はジェームズ・ボンドのように強力だ、というようなセリフを言ってほしいと提案しました」と、ちゃっかりとプラスアルファの要請もしたそうだ。(竹内エミコ)