総合格闘技と家族を描いた話題作『ウォーリアー』主演のジョエル・エドガートンを直撃!
映画『キング・アーサー』や『キンキーブーツ』などで知られるオーストラリアの俳優ジョエル・エドガートンが、格闘技を描いた話題の大作『ウォーリアー(原題) / Warrior』について、ギャヴィン・オコナー監督と俳優フランク・グリロとともに語った。
同作は、元海兵隊の弟トミー(トム・ハーディ)はピッツバーグに住む父親パディ(ニック・ノルティ)のもとを訪ね、総合格闘技トーナメントの頂点を目指すために彼にトレイナーを頼み猛特訓していく一方、かつてUFCのファイターだったが今は高校の教師をしている兄ブレンダン(ジョエル・エドガートン)は、家のローンが払えずに、同じくそのトーナメントに参加することを決意していくという本格的な格闘ドラマ作品。監督は映画『ミラクル』のギャヴィン・オコナーが担当し、映画『復讐捜査線』のフランク・グリロがブレンダンのトレイナー役を演じている。
まず、ギャヴィン・オコナー監督は「言葉だけの『君を許すよ!』だけでなく、心底で人を許せることを自分の人生を通して理解しようとしていたプロセスがこの映画の製作の始まりになったんだ」と明かし、さらに「総合格闘技を通して家族と兄弟を描いたスポーツ・ドラマ作品を観たことがないと思ったからでもあるんだ」と製作のきっかけを語った。
ギャヴィン監督は、この映画のキャラクターは作家ハーマン・メルヴィルの「白鯨」をモチーフにしているという「この映画では父親パディが白鯨で、彼は特別であり、彼に似た人物はいないんだ。ハーマン・メルヴィル原作の『白鯨』では、船長のエイハブが片足をこの白鯨に食いちぎられ、エイハブは復讐心を持っているが、この映画ではトミーが(これまで父親のしてきたことに対し)復讐心を抱いていて、(リングの上で)その父親像を追い求めているんだ」と古典作品に深い接点を見出していたようだ。
主演のジョエル・エドガートンは「まず、オーストラリアから(オーディション用の)ビデオテープを送ったんだよ。それから、映画『ザ・ウェイティング・シティ(原題)/ The Waiting City』のリハーサルを抜け出して、ギャヴィン監督に会いに行ったんだ」と話し、さらに、4時間も抜け出すことになってしまい、気まずかったこともつけ加えた。そして役を得てからは「撮影現場に2か月前に入り、朝の7時から夕方遅くまでジムに通い、いろいろな闘うための戦術を学んだり、ウェイトリフティングの仕方も教わったんだよ。それに、(筋肉質にするために)よく鶏肉も食べたよ!(笑)」と役作りを語った。ジョエルは単に鍛えられた体だけでなく、あらゆる格闘の戦術を映画内で披露している。
トレイナー役を演じたフランク・グリロは「実はボクシングと柔術、そしてレスリングを学生時代にやっていたが、ただトレイナー経験はなかったんだ。だが幸運にも、ギャヴィン監督がMMA(Mixed Martial Arts)で世界中を代表するベスト・トレイナーのグレッグ・ジャクソンを紹介してくれて、グレッグは僕らにジムと家を(トレーニングの場所として)提供してくれた。だから、僕は彼のファイターたちとともに、彼がよくジムで流しているベートーベンの曲を聞きながらトレーニングしていたんだ」と語った。さらにフランクは、そのグレッグのジムには大学卒業生や家族を持つものが多いことに驚いたとも教えてくれた。
映画は、近づくだけで危険な匂いのする弟役を演じたトム・ハーディと、繊細な心の持ち主だが、屈強に立ち向かっていく兄役を演じたジョエル・エドガートンが繰り広げる壮絶な闘いと兄弟愛が見所の映画に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)