『スリーデイズ』ポール・ハギス監督、インターネットのリサーチがオスカーへの近道!
長編デビュー映画『クラッシュ』で一躍オスカーを獲得し、脚光を浴びたポール・ハギス監督が、最新映画『スリーデイズ』についてインタビューに応え、綿密に計算された脚本の裏にあるのは徹底したリサーチであることを明かした。本作でハギス監督は、インターネットで調べたことを基にした脱獄計画を脚本に取り入れるなど、ユニークな方法を試みている。
フレッド・カヴァイエ監督による2008年の映画『すべて彼女のために』のリメイクである本作。リメイクにあたって、ハギス監督は「どういうふうにオリジナルと比べて、自分の作品を変えようかというアプローチは取っていないんです」と前置きすると、「『自分だったらどうするのか?』を考えたところから始めました」とオリジナルの構成を徹底的に分析し、自分が気になったところをピックアップすることから脚本制作を始めたことを告白。本作で主人公の大学教授は無実の罪で投獄された妻を助けだそうと奮闘するが、そのアイデアについても、「自分は脚本家なので、妻がもし収監されて助け出そうとしてもどうしたらいいかわからない。そんなときは、インターネットだろうと思ったんです。作品に出てくるたくさんのことが、実際に自分でインターネットで得た情報でもあります」とその驚きの作劇方法を明かした。
そのようにインターネットを駆使する一方で、体を使うこともいとわないのがハギス監督。脚本執筆中に撮影地ピッツバーグを訪れ、実際に脱走を試みた人に取材することもあったという。そうした得た情報も脚本の中にアイデアとして加えるのはもちろん、「逃走経路は自分で歩きながら決めました」と作品を構成する要素の多くが自分の目や体で確かめたことであることを明言。アカデミー賞脚本賞を受賞した映画『クラッシュ』でも綿密なリサーチを行ったことを明かしており、そうした一見地味に見える作業の数々が、完成された作品の血肉となっているのは間違いなさそうだ。
オリジナルでヴァンサン・ランドンが演じた主人公の夫は、本作ではラッセル・クロウが演じている。「(キャストを念頭に置いた)あて書きを一切しないんです」というハギス監督だが、書き終わったときに第一候補として挙げていたのがまさにラッセルだったそうで、本作ではまさに最高のキャスティングが実現。「今回、言葉を必要としないで感情を表現できるラッセルが演じてくれて本当にラッキーでした」とハギス監督は、ラッセルへの賛辞を惜しまなかった。(編集部・福田麗)
映画『スリーデイズ』は公開中