電気をなくすぞ!の脅しに乗らない、究極のエコ生活家族のドキュメンタリー、国会で試写!
29日、東京・千代田区永田町の衆議院第二議員会館にて、「究極の省エネ生活」に取り組んだ、大都市ニューヨークに住む家族の1年間を追った環境ドキュメンタリー映画『地球にやさしい生活』国会試写会&トークショーが開催され、J-WAVEのパーソナリティーで環境問題活動家の丹羽順子、東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科教授で建築設計事務所みかんぐみの竹内昌義氏、 前環境省地球環境審議官の小島敏郎氏らが登壇し、エコにまつわる意見を熱く交わした。
本作は、大都会ニューヨーク五番街に住む作家・コリン・ビーヴァンが、妻と2歳になる娘と共に、車なし、テレビなし、さらに1年間何も買わず、ゴミも出さず、電気も使わない究極のエコ生活を送ることを決意。その様子をカメラに収めたドキュメンタリー映画。3月11日の東日本大震災以降、原発事故の影響によりエネルギーの節約に注目が集まる中、ひとつの答えを提示してくれるような作品だ。
かつて、自ら住んでいた家を出て「車に、なべからやかんから最小限の生活必需品だけを積んで、トラベラー生活をしている」という丹羽。その理由は、本作に登場するコリン一家のように、「自分の生活を足元から変えたい」と思ったからだという。不便そうに思える生活については、「普通、大量生産、大量消費の今の時代に、本気でエコ生活をやろうとすると変人扱いされる。でも、コリンみたいに家族のつながり、仲間がいたからこそエコ生活ができた」と力説。「究極の省エネ生活」を乗り切るには「仲間の大切さが必要不可欠」と説いた。
一方、現在、建築家としてエコハウス作りにも積極的に取り組んでいるという竹内氏は、「実はもともとエコが好きじゃなかった」と告白。「でも、エコってやってみるとけっこう楽しい。まず、自分たちがどのくらいの電量を使っているのかを知るのは大事」とアドバイス、すると小島氏も「そう。『ゆとりある生活をしよう』って役人は言うけど、霞ケ関(の国会付近)の明かりがいちばん夜おそくまでついている」と観客の笑いを誘った。そして、「昔、原発は脅しに使えた。『電気がなくなったら大変だ!』と国民を脅かしてみせた。でも、別に大変じゃないという人々が出てきたら脅しには使えない。これは脅しに乗らない人たちの映画ですね」と語り、究極のエコ生活を送って見せた家族をたたえた。
映画『地球にやさしい生活』は、2009年サンダンス映画祭で上映され、大反響を呼んだ話題作。大都会の文明生活から一転、究極のエコ生活を過ごす家族のリアルな姿は、新しい生き方とは、本当の幸せとはなにかを問いかける。(取材・文:尾針菜穂子)
映画『地球にやさしい生活』は10月8日より新宿武蔵野館・ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次公開