戸塚ヨットスクール校長・戸塚宏!71歳にして教育への情熱は衰えず!「今の若い男を見ると国がつぶれてしまうと感じる」
11日、阿佐ヶ谷ロフトAで映画『スパルタの海』公開記念トークショーが行われ、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長が出席、3時間以上にわたって過激な教育論をぶちまけるなど、71歳にしてなお教育への情熱は衰えていないことをうかがわせた。
1980年と1982年に起きた訓練生の死亡事件、および1983年の戸塚校長の逮捕などが大きな社会問題となり、世間を騒がせた戸塚校長であるが、会場に登場するなり、「この会場には、体罰反対の人も、賛成の方もおられると思う。むしろ体罰は悪なりということ思っている方もいるでしょうが、意見というものは自分で作るものだということがわからないといけない。皆さん、マスコミの言いなりになってはいかん! スパルタは悪いという意見もあるが、これはいいんです。子どもたちのためにやっているんだから」と戸塚節は絶好調。去る9月に71歳の誕生日を迎えたばかりの戸塚校長だが、教育に対する情熱はまったく衰えていないようだった。
さらに戸塚校長の教育論は続く。「快を求め、不快を避けるのが人間の原理。だから成長させようと思ったら、本人に不快感を与えないと。しかも、進歩の能力というものは、小学校のうちにしか身につかないんです。しかし、今の教育は褒めて伸ばせとばかりに、子どもたちの不快を取り除くことに尽力している。それは母親がやるべき仕事で、父親や先生がそれをやってはやってはいけない。小学校のうちに甘やかせるとその能力が出来上がらないので、一生後悔します」ときっぱり。その過激ともいえる考えには異論もあろうが、戸塚校長は時間が許す限り持論について言葉を費やした。
そんな戸塚校長の教育論で物議を醸すのは、やはりいじめを推進するという点だろう。「いじめには良いいじめと悪いいじめがあります。かつては、いじめやケンカを通じて人間性を高めていた。徳育ですね。正しくない行動をなじるのが、正しいいじめ。行動が正しくなれば、いじめられなくなりますからね。でも、今のいじめは、お前が嫌いだと言うだけで、本人の努力ではどうしようもない。これが悪いいじめ」と戸塚校長の弁も熱を帯びてくるが、そんな流れから「実は『ハリー・ポッター』が大好きなんですよ」と意外な事実も飛び出した。「結局あれが教育なんですよ。権利の国、人権の国でやってる教育があれでしょ。先生は絶対的だし、ちょっと気に入らないことがあるとクビになる。危ないこともやらせるし、ケンカし放題、いじめし放題でしょ」と語るなど、大ヒットシリーズから戸塚校長なりの教育論を引き出していた。
戸塚ヨットスクールのうたい文句は、「男を作る」ことにある。「今の若い男を見ていると、国がつぶれてしまうと感じますよ。だからわたしたちは、将来の日本のために、男を作ることを始めたんです」と切り出した戸塚校長は、男の役割として「子供を作る」「女子供を守る」「(国の将来を守るための)愛国心」「(えさをとってくる)金」という4点を挙げた。それでは、そんな戸塚校長が愛すべき女性像とはどのようなものなのか。「何で男が自分の奥さん、子供を守ろうとするのか。その理由はただ一つ。かわいいからですね。かわいいから守りたいと思うんです」と穏やかな笑顔に。ちなみに最近の戸塚校長のお気に入りはマツコ・デラックスだとのことで、トーク中にもしばしば言及。「講演会をやったときに、会場には偏差値秀才ばかりが来ていて、屁理屈ばかりこねていたわけです。そこに彼女がおってね。そいつらに『あんたたち何よ! それでも男なの』とスパッと言ってくれてね。あれからファンになったんですよ」と語った。
本作は、東映の故・岡田茂社長の片腕として、『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』といった数々のエログロナンセンスな異常性愛路線映画を手がけてきた鬼才・天尾完次プロデューサーが、ノンフィクション作家・上之郷利昭の同名ルポタージュにほれこんで製作した青春映画。1980年と1982年に起きた訓練生の死亡事件、および戸塚校長の逮捕の影響によって急きょ上映中止に追い込まれたいわくつきの作品が28年ぶりにその封印を解く。(取材・文:壬生智裕)
映画『スパルタの海』は10月29日よりシアターN渋谷ほか全国順次公開