ロンドンで開催のレインダンス映画祭クロージングは盆栽をモチーフに愛を描いたチリ映画
現地時間10月9日、ロンドンで開催された第19回レインダンス映画祭が閉幕した。クロージングを飾ったのはクリスチャン・ヒメネス監督映画『Bonsai~盆栽』。上映前にヒメネス監督が録画で挨拶した。
本作が長編監督2作目のヒメネス監督だが、すでにカルト人気を持つ。現在、マドリッド滞在中というヒメネス監督は、会場には来られず、録画での挨拶となった。「もう10年も前になるけど、どうやって映画監督になるか、わからなかった頃、ロンドンにいて、レインダンスのワーク・ショップに参加したこともあるんだ。だから、今日は行けなくて、ほんとうに残念だよ。じゃ、映画を楽しんで。その後のパーティーもね。でも節度を持って楽しんで」とヒメネス監督は画面から観客を笑わせた。
本作は、学生時代の失った恋を、数年後の現在から振り返る青年が主人公の物語。モチーフに盆栽が使われていたり、マルセル・プルーストの大長編小説「失われた時を求めて」がキーとなっていたり、面白い仕掛けがほどこされている。冒頭で女性が死んでしまったことが明かされるが、感傷に流れることも、重くなることもない。軽妙にサラリと描かれていることで、より心に響く佳品だ。
『Bonsai~盆栽』は東京国際映画祭でアジアン・プレミア上映される。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)