テリー・ギリアム監督やマイケル・ウィンターボトム監督の映画などを手がける人気脚本家が明かす良い脚本と悪い脚本
ロンドンで開催された第19回レインダンス映画祭で、名脚本家のトニー・グリゾーニがトーク・ショーを行った。客席には映画制作者も多くつめかけ、トーク後には熱心な質疑応答が続いた。
グリゾーニは、テリー・ギリアム監督やマイケル・ウィンターボトム監督の映画の脚本のほか、イギリスのテレビでも活躍している。アンドリュー・ガーフィールド、ピーター・マラン、パディ・コンシダインなど、今、注目を集めているイギリス俳優たちが総出演したBAFTA受賞のテレビミニシリーズ「レッド・ライディング」などもグリゾーニの優れた作品の一つだ。
良い脚本と悪い脚本の違いについて、グリゾーニは「自分で書いてて、だめなのはすぐわかる。映画が見えてこないんだ。全部が見えてこなくては、いけない。ほとんど子どもの遊びみたいなものだよ。子どもは、頭の中のことを、ほんとうのようにして、ごっこ遊びをするよね」と言う。だが、それほどハッキリしたイメージができている脚本でも、それに固執してはいけないとも言う。「映画のいいところは、グループのダイナミズムだ」と話すグリゾーニは、監督のアイディアや撮影現場での工夫によって、予想を超えた映画のできに驚かされたこともあったと明かし、「そんな時でも『ああ、あれは僕が書いたんだよ』って人には言うけどね」と茶目っ気も見せた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)