上映禁止映画に出演した罪で、イランの女優にムチ打ち90回と1年の禁固刑
イラン女優のマルジエ・ワファメールが、当局から上映禁止となった映画『マイ・テヘラン・フォー・セール(原題) / My Tehran for Sale』へ出演した罪で90回のムチ打ち刑と1年の禁固刑を言い渡された。
この映画は2009年のオーストラリア映画で、イラン出身でオーストラリアに暮らす女性監督グラナーズ・ムサウィーの作品。マルジエは本作で、不法移民としてオーストラリアへ渡るイラン人舞台俳優を演じているが、作中にはマルジエがイスラム女性が被るヒジャブをとり、頭を丸めた姿で出演していたり、ほかにもイランでタブーとされている事柄が多く描かれている。2009年にオーストラリアのアデレード映画祭で上映されたほか、2010年のアジアフォーカス福岡国際映画祭で邦題『私のテヘラン』として上映されたが、イラン国内では上映禁止措置が取られた。
マルジエは今年7月に逮捕され、保釈金を支払って釈放されたが、イラン政府はマルジエに対し90回のムチ打ち刑と1年の禁固刑を科した。イラン当局は、この映画がイラン国内で不法に製作されたと主張しているが、ムサウィー監督は必要な許可はすべて取ったとし、「マルジエの罪には全く根拠がありません。イランの裁判所には、製作に必要な許可はすべてとってあるという書類も提出しました」と語っている。オーストラリアのプロデューサー陣も「イラン政府が科した刑に、大きなショックと悲しみを感じている」と語っているほか、オーストラリア政府も今回の刑については「深く憂慮している」と発表している。(竹内エミコ)