板尾創路、「これはコントじゃない！」と断言！ザボーガーへの子どものころの残念な気持ちを切々と語る！
1974年からおよそ1年にわたって放送され、その斬新さで視聴者に衝撃を与えた、知る人ぞ知る特撮テレビドラマシリーズのリメイク映画『電人ザボーガー』で、47歳になった主人公の大門豊を演じた板尾創路が、特撮ヒーローを演じた心境を告白した。
当時10歳だった板尾は、本作のオリジナル版をリアルタイムで観ていたそうで、「主人公が変身しないとか、バイクがロボットに変形するとか、その斬新さが強烈でしたね。子どもながらに『大丈夫か？ もうちょっとちゃんとやった方がええんちゃうか、ここは』『ここはさすがに子供でもわかるぞ』と心配になる感じでした」と振り返る。当時は特撮ドラマの全盛時代。製作のピー・プロダクションも、数々の作品を手掛けてきたが、「『マグマ大使』や『快傑ライオン丸』は純粋に好きで観ていたけど、『電人ザボーガー』は……圏外やったな」と手厳しい。「ザボーガーがね、モコモコし過ぎてて、キレが悪かったんですよ。文化祭みたいやったので、もうちょっと子どもに夢を与えてほしいな、という思いはありましたよね」と子どものころに抱いていた残念な思いを打ち明けた。
そんな板尾も、47歳で特撮ヒーロー・大門豊を演じることになり、さすがに最初は面食らったそう。しかし、演じるのは板尾と同じ熟年の大門だったことから、「これならおれでも頑張ったらできるなと思ったし、その感じがまた映りもちょうどいいのかな」と思い、すんなり演じることができたという。基本的には、『片腕マシンガール』など独特の世界観で知られる井口昇監督の演出通りに演じたそうだが、「『ジーンズは何かと動きやすいんだ！』と言うところは僕のアドリブです」とのこと。強烈な印象が残るシーンとなった。
さらに共演者には、柄本明、竹中直人、渡辺裕之ら演技派俳優がそろっており、中でも「ああ、これ出はるんやと意外やったんですけど、柄本さんとご一緒するのがすごく楽しみで。俳優として尊敬しているので緊張したけど、柄本さんの方から『（舞台で共演した）息子の佑がお世話になりまして』とあいさつしてくださって、普通のお父さんやなと（笑）。でも、芝居はやっぱりすごい。すごく勉強になって感動しました」と特別な感情を抱いていた柄本との共演がうれしかったという。しかし、尊敬する先輩だからこそ気になる点もあるようで、「撮影後に紫綬褒章を受章されていたんですけど、大丈夫かなと。最近の作品は『一枚のハガキ』になってるんちゃうかな？」と『電人ザボーガー』が柄本のプロフィールから消されていないか気にしていた。
近年は芸人としてだけでなく、俳優、そして監督としても活躍する板尾。「僕の場合はどうしてもバラエティーやコントのイメージがあるので、世間の人は、（『ザボーガー』も）コントかなと思うでしょうね。でも、はっきり言っておきます。コントではないです」とキッパリと言い切り、「生い立ちとか宿命とか、人間っていろいろと背負っているものがある。そういう中に葛藤（かっとう）とか哀愁といったものがちゃんと詰まっているので、いい話だと思います。だから、笑っていただくところは笑っていただいて、クライマックスに向けて感動してもらえればいいなと思います」と熱くアピールした。そして、「ザボーガーがカブに乗って登場したら面白いなと。タイヤが出えへんとか、何か理由があるんでしょうね。パート2でもあれば、井口さんに提案してみようかな」と、次回作へのアイデアも。そこには、芸人でも俳優でも監督でもなく、与えられた役柄を全力でまっとうしようとする人間・板尾創路の姿が垣間見えた気がした。板尾しか演じることができなかったであろう47歳のヒーロー・大門豊の姿をぜひ目に焼き付けてほしい。（写真・文：小島弥央）
映画『電人ザボーガー』は10月15日より全国公開