板尾創路と浅野忠信が二人一役!?「それは無理!」とつぶやきたくなる板尾創路監督第2作予告編が解禁!
板尾創路が監督・脚本・主演を務める映画『月光ノ仮面』の予告編&ビジュアルが解禁され、古典落語「粗忽長屋」をモチーフにしたという、まさに板尾ワールドとしか評することのできない独特の世界観が明らかになった。板尾と浅野忠信が二人一役に挑戦するようにも見えるストーリーは、いったいどんなものなのかという興味を引かれること間違いなしだ。
今年の第35回モントリオール世界映画祭へも出品された本作は、古典落語「粗忽長屋」を題材に、戦死したと伝えられ、自身も一切の記憶を失っていた男が帰郷したことから起こる出来事を描いた作品。今回解禁された予告編では、落語家“森乃家うさぎ”として帰ってきた男(板尾)が、もう一人、戦争から帰ってきた男(浅野)と向き合うなど、まるで二人で“森乃家うさぎ”という一役を奪い合うことを示唆させるような映像が挟み込まれているのが印象的。同時に解禁されたポスタービジュアルでも、包帯で顔を隠した板尾と、顔を見せた浅野が並ぶという構図になっており、まるで二人が同一人物であるように錯覚させられてしまう。
本作のモチーフになっている「粗忽長屋」とは身元不明の死人に間違えられた熊公が、死人を自分だと勘違いしてしまったさまを描いた古典落語の演目の一つ。本作の予告編では、「ここで死んでるのは確かに俺だが、それを見ているこの俺は、いってえ誰なんだ」という「粗忽長屋」のオチがたびたび用いられており、戦後という時代背景を巧みにストーリーに盛り込んだ、「粗忽長屋」を見事にアレンジした作品であることがうかがえる。
監督デビュー映画『板尾創路の脱獄王』でも、脱獄をテーマに過去の名作を想起させるような映画作りを行なっていた板尾だが、本作でもその手法は健在。「粗忽長屋」はもちろんのこと、タイトルからも想像がつく通り、1958年に放送開始された特撮ヒーローもの「月光仮面」を意識していることは明らかで、当時を知る人ならばより楽しめることは間違いない。だが、そういった枠組みは既存のものを流用しているとはいえ、中に詰め込まれたストーリーは板尾にしか考えつかないようなもの。最近は俳優としても特異な存在感を発揮し、日本映画界に欠かせない存在となっている板尾だが、映画監督としても活躍の場は整った。そう思わせられる快作だ。(編集部・福田麗)
映画『月光ノ仮面』は2012年1月14日より全国公開