ぶっちぎり大ヒット!『トワイライト』最新作が、いきなり1億ドル超えで全米トップに! -11月21日版
全米ボックスオフィス考
ペンギン対ヴァンパイア……今週のチャート争いは強豪同士の一騎打ちになるかと思いきや、映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』が週末興収1億3,812万ドル(約110億4,960万円)というすさまじい記録をたたき出し、第2位と大差で全米映画ナンバーワンになった。(1ドル80円計算)
今週第1位の映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』場面写真
本作は、シリーズ第4弾。ここまでくるとガス欠状態になるかと思いきや、歴代の映画『トワイライト』シリーズの中でも、デビュー週末興収1億4,284万ドル(約114億2,720万円)を記録した前々作の映画『ニュームーン/トワイライト・サーガ』に続く大ヒットとなっておりガス欠どころかパワーアップしており『トワイライト』シリーズの力を見せ付けた。ちなみに今週末に『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』が打ち立てたボックスオフィスにおけるオープニング3日間の記録は、第1位の映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』、第2位の映画『ダークナイト』、第3位の映画『スパイダーマン3』そして上記の『ニュームーン/トワイライト・サーガ』の第4位に続き、歴代大ヒットのトップ5にランクインするという快挙!
観客調査によると本作を観に来ていた80パーセントを女性客が占めており、この映画を支えているのはガールズパワーであることを改めて認識する結果となった。ただ、興味深いのはティーンエイジャーの少女たちに大人気の作品というこれまでのイメージを覆すかのように、今回の新作は21歳以上の観客が過半数の60パーセントを占めるという結果が出た。これは元ティーンだった少女ファンが時を経て4作目が公開され大人になった現在もトワイライト・ファンであることを示していると考えられる。
さて、まさにヴァンパイアに食われてしまった感のあるのが第2位の映画『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』で2,124万ドル(約16億9,920万円)。新作には声のゲストとしてブラッド・ピットやマット・デイモンなどを迎え、3D公開でもあっただけに、大ヒットとなった前作のデビュー週末興収と比較すると2分の1強という成績は、何とも不本意な結果といわざるを得ない。
前作が公開されたのも今回同様に感謝祭1週間前と同じ時期で、そのときのチャート争いにおいては映画『007』シリーズの映画『007/カジノ・ロワイヤル』だったが、僅差(きんさ)で『ハッピー フィート』はナンバーワンに輝いた。しかしながら今回の新作は、3,606上映館、うち2,825館は3D公開にもかかわらず2,000万ドル(約16億円)強というのは残念ながら不合格となる。
代わって第3位は、先週のトップから61.6パーセントの収入減となった映画『インモータルズ -神々の戦い-』で1,235万ドル(約9億8,800万円)。同ジャンルの映画『タイタンの戦い』の公開2週目週末の降下率と比べると少々落ちるが、このジャンルは2週目の降下率が高いことで知られているのでそれを考えればまずまずの結果といったところか。ちなみに『インモータルズ -神々の戦い-』の10日間の総合興収は、5,308万ドル(約42億4,640万円)となっている。
第4位は、アダム・サンドラー一人二役のコメディー映画『ジャック&ジル(原題) / Jack & Jill』で1,174万ドル(約9億3,920万円)。現時点での総合興収は4,080万ドル(約32億6,400万円)となっており、これは歴代のアダム・サンドラーとデニス・デューガン監督のコラボ作品と比べるとかなり低い成績である。
トップ5最後は、デビュー4週目にして上位5位で頑張っている映画『長ぐつをはいたネコ』で1,080万ドル(約8億6,400万円)。新作2本に押されたのと、やはり封切り4週目ということで2ランクダウンとなった。だが現在までの興収を見てみると1億2,240万ドル(97億9,200万円)と1億ドル(約80億円)の大台を突破しており、同じドリームワークスの映画『ビー・ムービー』を射程圏内にとらえ、さらに大ヒット作アニメ映画『メガマインド(原題) / Megamind』の1億4,842万ドル(118億7,360万円)を超えるかもしれないとの期待も高まっている。
さて今週の木曜日はいよいよアメリカで最大のホリデーのひとつにあたる感謝祭となるが、翌日の金曜日も国民のほとんどが休暇を取り、実質4連休。映画館のかき入れ時にあたるこの週末は、一家そろって帰省している親子連れの客足を狙ってファミリー映画ざんまいとなる。
今年の感謝祭に公開されるファミリー作品は3本。連休の始まる前日となる11月23日(水)から公開が始まる。1本目はソニー・ピクチャーズが、アニメ映画『ウォレスとグルミット』シリーズで有名なイギリスのアードマンとコラボしたアニメ映画『アーサー・クリスマスの大冒険』。サンタクロースの息子アーサーが、クリスマスに世界で唯一プレゼントが届かなかった女の子のためにプレゼントを届けようと奮闘するというコメディー。大人も子どもも楽しめそうなアニメである。
2作目は、3Dファンタジー映画『ヒューゴの不思議な発明』。マーティン・スコセッシ監督が初めて挑戦した3D作品で、昨今の3D映画の中では屈指の映像美と評判を呼んでいる。果たしてその内容は? そしてスコセッシファンの映画に対する判定はいかに……?
ファミリー映画3本目は、今も昔もアメリカの人気者マペットが久々に大スクリーンに集った映画『ザ・マペッツ(原題) / The Muppets』。歌って踊って、ぱっと見は子ども向けに見えるが今は大人になった映画ファンも子ども時代を思い出して楽しめるハッピーな映画となっており、上記の2作品といい勝負になることが予想される。
さて、ファミリー映画はこんなところだがトップ5に食い込まなくても、アカデミー賞の呼び声高く、すでに話題に事欠かない映画もいくつか公開予定である。マリリン・モンローがイギリスを訪問したときに、彼女と恋に落ちた男性が書いた原作を基にした悲しい恋愛映画『マイ・ウイーク・ウィズ・マリリン(原題) / My Week with Marilyn』、そして、フランス映画で白黒のサイレント映画『ジ・アーティスト(原題) / The Artist』である。サイレント時代の人気男優を主人公にした異色作だ。
映画賞ファンにはたまらないシーズンの到来である。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)