父の死を優しく描いた台湾映画『父の初七日』公開決定
東日本大震災の影響で劇場公開が延期されていた映画『父の初七日』の公開が、来年3月に決まった。また予告編も解禁され、古いしきたりにのっとった台湾ならではのお葬式から生まれる優しい人間ドラマを垣間見ることができる。
小規模公開ながらもクチコミで話題となり、台湾全土に拡大上映され、ロングランヒットを飛ばした『父の初七日』。新進気鋭のワン・ユーリンとエッセイ・リウが監督を務め、エッセイ・リウ自身の文芸作品「父後七日」を映画化した作品だ。テーマは皆に訪れる大切な人との別れ。占いによって決まる葬儀の日時や、儒教のしきたりで泣くことが決められていて、泣き女を雇うこともあるという台湾の伝統的な「おくる儀式」を背景にしながら、父と家族の別れの日までを温かく紡いでいる。
台湾のアカデミー賞にあたる金馬奨で7部門にノミネートされ、最優秀脚色賞、最優秀助演男優賞を見事に受賞した本作だが、予告編を見れば納得。突然訪れた父の死に直面した家族や親族の騒動をユーモラスに描きながらも、大切な人を失った悲しみがじんわりとにじむ世界観。また家族のかけがえのなさに改めて気づかされるような仕上がりを実感できる。誰もが経験する身近な人の死に思いをはせずにはいらいれない。(編集部・小松芙未)
映画『父の初七日』は2012年3月3日より東京都写真美術館ホール、銀座シネパトスほか全国順次公開