田原総一朗、「言論の自由が不自由になっている」と日本への危機感語る!
1970年の公開当時に大ブームとなり、団塊の世代には今でも伝説的に語られる学生闘争を取り上げた映画『いちご白書』のリバイバル公開を記念した劇場トークショーが30日、東京の新宿武蔵野館で行われ、本作を「今こそ観るべき作品」と推奨する田原総一朗が出席、本作公開当時の時代背景を客席の若者たちに紹介した上で、これからの日本を支える世代へエールを送った。
ビデオ版は廃盤、DVD化もなく、完全にお蔵入りとなっていた1970年代のヒット作が再びよみがえった。『いちご白書』はカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した1970年公開のアメリカ映画。1960年代の学生闘争を描いたジェームズ・クーネンのノンフィクションを映画化した作品で、新宿武蔵野館で今月19日より再公開され話題を呼んでいた。
公開当時は本作品を観ていなかったという田原は、「今観ると、日本の学生闘争の背景とよく似ている」とし、当時の学生闘争の起こり、また連合赤軍のあさま山荘事件を期に学生運動が衰退していった背景などを語った上で、リビアなどで起こっている事件を見て「日本の若者たちは、他国の若者ほど怒っていない」と感じていることを明かし、「怒らなければ世の中は変わらない!」と不満をもらした。
また「日本のマスコミもだらしない。心配なのは、最近、言論の自由が不自由になっていること」という田原は、例として皇室関連や原発のことなどを気軽に発言しにくくなったといい、「昔ソ連に行ったとき、はじめて、それまで自由だと信じていた共産党に言論の自由がまったくないことに気付いてがっくりときた。第二次世界大戦直前、若き日の宮澤元総理大臣が渡米した際、気軽に政治批判をしにくかった日本に対し、アメリカ人が平気で母国の悪口を口にするのに驚き、最初は変な国だと思ったが、最後には言論の自由が認められていたアメリカに勝てるわけがないと思ったと聞いた。言論の自由があることが健全。いまそれがだんだん不自由になってきた」とし、「日本の若者よ、もっと怒れ!」とげきを飛ばした。
トークショーでは、ほかにも田原らしい過激なコメントが多数。島田紳助の問題にも触れ、「おれなんか取材で20回くらい暴力団と会っている。飯も一緒に食った。なんで一回だけ会ったくらいで島田紳助は首にならなければいけないのか」と発言したり、プロ野球、読売巨人軍の内紛に関しても、「年寄りがでかい顔している状況はだめ」とばっさり。その発言の裏にはやはりこれからの日本を思う気持ちがあり、若者に頑張って欲しいという思いが含まれているのか、最後に客席に向けて「頑張ってください」と発言したその目には、これからの世代への願い、期待が切実に込められているようだった。(取材・文 名鹿祥史)
映画『いちご白書』は新宿武蔵野館ほかで公開中