巨匠マーティン・スコセッシ監督が家族映画に挑戦した新作とは?ベン・キングズレーらが語る!
映画『タクシードライバー』や『ディパーテッド』などでおなじみの巨匠マーティン・スコセッシ監督が、家族映画に挑戦した新作『ヒューゴの不思議な発明 / Hugo』について、クロエ・グレース・モレッツ、エイサ・バターフィールド、ベン・キングズレー、エミリー・モーティマーが語った。
マーティン・スコセッシ最新作 映画『ヒューゴの不思議な発明』場面写真
同作は、1930年代パリの時計台に隠れながら住んでいた12歳の孤児ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、亡き父親が残したからくり人形の秘密を探っている際に、不思議な少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、彼女との出会いがヒューゴの運命を変えていくという家族ドラマ作品。作家ブライアン・セルズニックのファンタジー小説「ユゴーの不思議な発明」を映画化している。さらに、人気俳優ジョニー・デップが製作し、上記以外のキャストにジュード・ロウ、サーシャ・バロン・コーエンらが出演していることも注目だ。
ブライアン・セルズニックの原作についてエイサ・バターフィールドは「実は、脚本を読むまでは原作の本があることを知らなかったんだ。そこで、原作を買いに行ったらすごく本が厚いことに気付いたんだよ!! これは、読むのに少し時間が掛かりそうだと思っていたら、原作の本には著者ブライアン・セルズニックが描いた絵がたくさんあって、わずか2時間で読んでしまったんだ!」と明かした後、エミリー・モーティマーは「私の小さい子どもが通う学校で、この原作が必読の本になっていたの。子どもたちはこの本の魅力に取りつかれていたわ。特に、映画の歴史を含めたいろいろな要素は、教育にふさわしい素晴らしい本だと思ったわ。それに絵がかなり含まれているから、小さい子どもたちは読んだ後に、厚い本を読んだんだと感じる達成感を覚えていたと思うの」と子どもに適した原作だと話してくれたが、大人でも十分に楽しめる本の内容になっている。
映画内でヒューゴが出会う、映画創成期にフランスで制作していた実在の人物ジョルジョ・メリエスを演じたベン・キングズレーは「ジョルジョ・メリエスみたいな天才を演じることに、わたしはくじけそうになった……。映画内では数回、その天才ぶりを披露することになっているが、映画のオープニングの設定では、(現在の)ジョルジョはその天才からかけ離れた状態にいて、過去について触れられることさえ嫌がっていたんだ。なぜなら、その行為は彼が過去に失ったものを思い起こさせるからなんだ」とキャラクターについて語った。さらに、このジョルジョ役のインスピレーションになったのは、マーティン・スコセッシだったそうだ。「マーティンの行動を真似たんだよ。彼はネクタイやジャケット着たりしていつも良い服装でメガホンを取っているんだ(笑)。それに、彼のストーリー構成と映画への愛着、そしてスタッフや俳優など、誰とでも対話する余裕があり、さらに知識の豊富さにも感嘆させられるんだ。だから、そんなマーティンこそが、このジョルジョ役のインスピレーションになったわけだ」と明かした。
サシャ・バロン・コーエンとの共演についてエミリー・モーティマーは「実は、サシャのようなコメディの天才と共演することに、わたしはナーバスだったの。それは、そんなコメディの天才は、よくセットでは難しい傾向にあると思っていたからなの。ところが彼ほど共演しやすく、スウィートで愛嬌のある人はいないと思ったわ」とサシャの人柄を好きになったようだが、実際のサシャは「そんなコメディにおいては才能のある彼だけれど、まるで陸に上がった魚のように、どうして良いのか全くわからなかったみたい(慣れていないシリアスな作品であったため)。それでも彼は、わたしと共演した複雑なシーンで、見事に泣くシーンを演じていたわ。実際、彼自身も自分の演技に驚いていたみたいよ!(笑)」と笑顔で話した。
同作は、映画を愛する人たちへのラブレターとして描かれ、子どもから大人まで楽しめる作品に仕上がっている。マーティン・スコセッシの家族映画という新境地に注目が集まりそうだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)