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オスカー有力候補の映画『アーティスト』は頭トレ映画?脳の活性化が報告

第84回アカデミー賞

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『アーティスト』
『アーティスト』 - 写真:Everett Collection/アフロ

 先日発表されたゴールデン・グローブ賞でも最多6ノミネートを果たし、今年のアカデミー賞レースを先陣を切って快走中の映画『アーティスト』。全編サイレントでしかも白黒というこの作品は、見た人たちがみんな口をそろえて、「最近の映画にはない体験をした!」と語っている。そんな矢先、ロサンゼルス・タイムス紙に興味深い記事が載った。サイレント映画を鑑賞している人とセリフ付きの普通の映画を鑑賞している人の脳を比較すると、映画鑑賞中の脳の反応に大きな違いがあることが判明したというのである。

映画『アーティスト』場面写真

 名門南カリフォルニア大学心理学部で脳と創造力の関係について専門に調べる研究所で助手を務めるカスパー・メイヤー氏によると、研究対象者にサイレント映画と普通の映画を見せつつMRIで脳の画像を見てみるとサイレント映画を見ている人の脳は、音声を察知する箇所が非常に活発化するという。たとえその人の鼓膜に何の音も届いていなくてもその部分が活発化するというのだ。

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 メイヤー氏によると、人間の脳はサイレント映画のように映像だけで音のない作品であっても、シーンごとに個人の経験や記憶に応じて脳内にある「音のライブラリー」から適した音を選択し自分なりの音をあてはめているのだという。

 映画『ジ・アーティスト』のミシェル・ハザナビシャス監督も「観客が自分の頭の中で映画の登場人物に適した声を当てはめ、街の雑踏なども自分なりに想像して映画のストーリーにより深く入り込むことができる」と語っている。

 前出のメイヤー氏によると、人間の脳は3D映画を見ているときよりも映画『アーティスト』のようなハイテクではない映画を観ているときのほうが遥かに創造力を使用して脳を使っているのだという。

 「映画体験をよりリアルに、より新しい技術を!」という考えから、大金を投じて開発され続けているCGや3Dの最新テクノロジーだが、結局は温故知新で『アーティスト』のような低テクな映画のほうがかえって新鮮と受け止められるというこの現実はなんとも皮肉な話である。(文・ロス取材: 明美・トスト / Akemi Tosto)

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