ネイチャードキュメンタリーの最高傑作! まるで神業のような映像の舞台裏に迫る
『ディープ・ブルー』や『アース』などで知られる、イギリスのBBC製作のドキュメンタリー『ライフ -いのちをつなぐ物語-』のメイキング動画が公開され、この奇跡の映像が、撮影クルーたちの「忍耐」によって生み出されたという事実を浮き彫りにした。
BBCのネイチャードキュメンタリーの集大成的作品ともいえる本作の撮影隊は、人里離れたジャングルの奥深くに分け入っていく。カメラマンは体長わずか1.5センチの真っ赤な体とブルーの脚を持つ「イチゴヤドクガエル」を捜すために、自分もカエルと同じように必死に地面をはいずり回ってその神秘の生きものの足跡をたどるのだ。
ところがこのイチゴヤドクガエルの母親は、大切なわが子であるオタマジャクシを天敵から守るため、木の上まで運んでしまう。そして日に何回も、母ガエルにとっては気が遠くなるような距離の地面と樹上の間を往復し、懸命にエサを運ぶという作業を繰り返す。そんな折、カメラマンに要求されるのは、ただ「忍耐」のみ! 自らも木に上り、最新の超ハイスピードカメラを構えた状態で、ひたすら2時間も蚊に刺されまくりながら母ガエルの出現を待つ。
時には熱帯雨林地方特有の大雨に襲われ、大慌てでカメラにカバーをかけたり、人の手が入っていない湿地帯にたどり着くために、自らの足をびしょびしょに濡らしながら3時間歩き続けることもクルーたちにとっては朝飯前だ。とにかく彼らの努力によって、トカゲvs.ハネジネズミの命懸けの逃走バトルや、チリクワガタのオモシロ恋人争奪戦などなど、動物の目線に近いカメラワークによる、臨場感あふれる映像が撮れたことだけは確かだ。
その粘り強さには感心することしきりで、まるで子どものように好奇心いっぱいに、動物たちを観察する目を持つクルーだからこそ、この神業のような映像を実現できたに違いない。われわれ人間が、動物たちの秘密の日常を垣間見させてもらうためには、ひたすら「待つ」覚悟が必要だとこの映画は教えてくれる。(平野敦子)
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