英国アカデミー賞BAFTAは米アカデミー賞への一番の近道!米国アカデミー会員は実は欧州好き
このほど、英国映画テレビ芸術アカデミー(通称BAFTA)が授与する英国アカデミー賞候補の発表が行われ、アカデミー賞評論家たちの間でかなりの話題となっている。実はハリウッド映画業界ではゴールデン・グローブ賞は、刺身のツマのようなもので、むしろBAFTAのほうがメイン・コースに近く、歴代の受賞作品を比べてみてもアカデミー賞の結果に非常に近いことで知られている。
特に最優秀男優&女優賞においては過去にBAFTAを受賞した32人中18人がアカデミー賞を取っているという結果がロサンゼルス・タイムス紙で発表されたこともあり、BAFTA最優秀作品賞にいたっては前回の 『英国王のスピーチ』( 第83回アカデミー賞でも作品賞受賞)を筆頭に、 『スラムドッグ$ミリオネア』(第82回アカデミー作品賞受賞)、そして 『ハート・ロッカー』( 第81回アカデミー作品賞 受賞)と3年連続でアカデミー賞の作品賞を予想する形になっている。
今年のBAFTAの作品賞候補には白黒サイレント映画で話題の『アーティスト』が12部門でノミネーションを受けて注目度ナンバーワン。その次にノミネーションが多かったのがゲイリー・オールドマン主演のスパイ映画『裏切りのサーカス』の11部門、マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』の9部門となっている。
日曜日にゴールデン・グローブ最高の栄誉とされているドラマ部門作品賞を受賞したジョージ・クルーニー主演の『ファミリー・ツリー』はBAFTAの作品賞候補ノミネートされてはいるもの英国アカデミー会員たちの評判はクールな反応と見受けられる。シリアスな問題を扱っているものの映画全体のトーンが明るくコミカルな部分も多く、どちらかというと“アメリカン”なストーリー仕立てというところが英国アカデミー好みではないのかもしれない。また米国アカデミー会員たちのイギリスそして欧州好みは公然の秘密である。アカデミー賞で一番栄えある賞と言われている作品賞は、『アーティスト』対『ファミリー・ツリー』の一騎打ちになるのではと言われているが、果たして軍配はどちらにあがるか?(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)