戦場カメラマン渡部陽一、久々の取材に「極度の緊張を感じています」とコメント アフリカの現状訴える
31日、戦場カメラマンの渡部陽一がアフリカの紛争地域を舞台にした映画『マシンガン・プリーチャー』の試写会に出席した。現在「普段通りの日常」を送っているという渡部は、久々の囲み取材でマイクを向けられると「(取材)慣れしていたわけではないので、極度の緊張を感じています」と語り、汗を浮かべながら応じていた。
2010年ごろを中心にテレビ番組などに多数出演、戦場のリアルな体験談やゆっくりとした口調のトークで人気を博していた渡部。現在は本業にいそしんでいるそうで、まずは「アフガニスタンや東日本大震災の取材に行き、写真展を行っています」と現状を報告。
東日本大震災の取材は震災直後から続けているといい、「カメラマンとして、自分にできるのは、写真を撮りたくさんの方々の声を、聞いて行くことだと思っています。今まで取材で会った方々にまた何度も会いに行き、状況や生活がどう変化したのか、メディアを通じて報告していきたい」と再び被災地に取材に行く予定も明かす。
そんな渡部は、舞台あいさつで、アフリカの現実をとらえた自身の写真を持参しトークショーを開催。まだ中学生くらいの少年が銃を携えている衝撃的な写真などを観客に見せると、「今でも紛争が起きていて、家族を守るために銃を取らざるを得ない、想像もできない現状が続いています。そうした声を世界に届けられないか、それがカメラマンになった理由です」と告白。そして本作でも描かれている現状を「日本からけして遠くない、スーダンの子どもたちの声を、聞いてください」と訴えていた。
本作は「マシンガン・プリーチャー」(銃を持った牧師)と呼ばれる実在のアメリカ人活動家サム・チルダースの半生を描いたヒューマンドラマ。酒と麻薬におぼれ犯罪を繰り返してきた、ジェラルド・バトラー演じるサムが、ある事件をきっかけに改心し、アフリカの紛争地で内戦に巻き込まれた子どもたちの救出活動に乗り出すようになる姿を描く。(取材・文:中村好伸)
映画『マシンガン・プリーチャー』は2月4日より公開