究極の格差社会!金持ちは長生き、貧乏人は早死に!『TIME/タイム』主演のジャスティン・ティンバーレイクが激白!
『ソーシャル・ネットワーク』で本格的なドラマに挑戦し、俳優としてがぜん注目されるようになったジャスティン・ティンバーレイク。すべての人間が25歳で成長が止まる世界を舞台にしたアクション・サスペンス『TIME/タイム』では、クールで男っぽいアンチヒーローを好演。アマンダ・セイフライド演じる富豪の娘と逃避行を続けながら、社会システムの謎を解明しようとする。
「この映画には、いろんなジャンルが混ざっていると思うんだ。僕はそこに惹かれたよ。主人公のウィルは、どこにでもいるごく普通の男だと思う。彼は、恵まれない境遇にいて、たまたま並外れたことをしないといけなくなる状況に追い込まれる。映画の後半は、観客が心奪われる展開になっていると思うな。アマンダと僕のキャラクターのロビン・フッド的な要素を抜きにしてもね。彼は別にヒーローになりたいとは思っていなくて、復讐を企てているんだけど、それよりも大きなことがあると気がつく。彼はそうしてヒーローになっていくんだよ」
ジャスティンにとっては、全編出ずっぱりの初のハリウッド主演作。プレッシャーもあったに違いないが、そのチャレンジを楽しんだと言う。「僕はこれと比べられるような体験をたくさんしているからね。たとえば、ステージに上がり、2時間ものショーを僕一人で持たさないといけないとかね。でも、映画の場合は、自分一人でやるわけじゃない。監督のアンドリュー(・ニコル)が指導者だったんだ。彼は脚本も書いたから、僕からどんなものを引き出したいか、すごく明瞭にわかっていた。僕も、このキャラクターがどういうやつで、何をすべきか自分なりの考えを持っていた。本物のコラボレーションだった。アマンダについてもまったく同様のことが言えるよ。彼女は素晴らしかった。この映画は、僕がこれまで作ってきた映画の中で、一番個人的に思い入れのある作品になった。ウィルの中に、自分に一番近いものを感じたんだよ」
この近未来の世界は、文字通り「時は金なり」で、通貨は時間。金持ちは永遠に生きることが出来、貧乏人は、その日働いて稼いだ時間を腕のデジタル時計に足し、なんとか生き延びるという格差社会だ。今の社会を反映していると、誰もが考えるだろう。
「僕は、社会的不平等というものはいろいろな形で現れていると思う。今もそうであるように、それは経済に関係している。この映画の賢いところは、それを比喩的に指摘しているところにあると思う。僕たちは、どれだけの金を持っているか、あるいは持っていないかに基づいて階級制度を作り出している。それって、明らかに愚かで不公平だよね」 最近は、俳優業に力を入れているジャスティンだが、音楽と演技の違いについて、意外な話を聞くことができた。
「みんな、音楽と演技ってすごく違うことだと考えているんだよね。でも、僕は全然そうだとは思わない。この2つって実はとても関連深いんだ。ステージで音楽を演奏する時、とても演劇的だし、それって、キャラクターみたいなものなんだよ。僕の最新アルバムは、僕が創り出したキャラクターなんだ。僕にとっては、演技というのはすごく私的な行為で、音楽の方は自分自身との隔たりがあるんだよ」
今作で、一人でも大作を背負えるハリウッドスターとして自分を証明して見せたジャスティン。現在、60年代のフォーク音楽シーンを描いたコーエン兄弟のコメディ『Inside Llewyn Davis』(原題)を撮影中で、その次には『Trouble with the Curve』(原題)で、なんとクリント・イーストウッドと共演と大活躍。コメディもドラマもこなせる多才な彼が、今後どんな役どころに挑戦するのか、とても楽しみだ。(取材・文:吉川優子/Yuko Yoshikawa)