日本では知られていないセックス依存症の孤独な真実とは?マイケル・ファスベンダー主演の問題作がついに公開!
セックス依存症という、性的欲求のコントロールが利かないことに苦しむ主人公の姿を描いた映画『SHAME -シェイム-』がまもなく公開されるが、日本人には聞き慣れない、セックス依存症とは一体どのような病なのだろうか?
本作の主人公ブランドン(マイケル・ファスベンダー)は、ニューヨークで働く独身男性。仕事以外で、彼がすることは、セックス。行きずりの女性や、娼婦(しょうふ)との一夜……自らの性欲を吐き出すようにして繰り返されるブランドンのセックスは空虚そのもの。それでも、ブランドンは自分の欲求をコントロールすることができない。毎晩、違う相手とのセックスにおぼれるブランドンは、女性からしてみればただの女好きという印象かもしれない。だがセックス依存症の人間にとってのセックスは、自分自身を傷つける行為でしかなく、映画で描かれているブランドンのセックスもまた、悲しさとむなしさに満ちあふれている。
自らの孤独を埋めるようにセックスに依存していくブランドンを熱演し、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネートされたマイケル・ファスベンダーは、ブランドンの苦しみについて、「彼は即座の満足感や高揚感を必要とするが、それをセックスで得た直後には、極度の恥辱と自己嫌悪が襲ってくる。そのサイクルが永遠に続くんだ」とコメント。性衝動をコントロールできない苦しみを、マイケルは見事に表現している。
実は、華やかなハリウッドの世界でもセックス依存症に苦しむスターは多い。最近ケイティ・ペリーと破局したラッセル・ブランドは、過去にセックス依存症の治療を受けていたことをカミングアウトし、「X-ファイル」シリーズのデヴィッド・ドゥカヴニーは、重度のセックス依存症に苦しみ、リハビリ施設に入院したほどだ。この病気が傷つけるのは、自分だけではない。理性のコントロールができないことで、愛する人すらも傷つけてしまうのがセックス依存症の恐ろしいところ。デヴィッド自身、パートナーのティア・レオーニとは何度も破局を繰り返していることからも、パートナーの苦しみも想像を絶するものがあることがうかがえる。
衝撃的なシーンの裏に隠された主人公の空虚な感情。それは、携帯電話でしか人とのつながりを感じられない現代を生きる日本人ならば、一度くらいは味わったことのある感情かもしれない。本作で、現代社会が生み出した孤独の闇と、改めて向き合うことになるだろう。(編集部・森田真帆)
映画『SHAME -シェイム-』は3月10日よりシネクイント、シネマスクエアとうきゅうほか全国順次公開