オスカーのノミネートはゼロの名監督ロジャー・コーマン!なのにドキュメンタリー映画出演者はアカデミー賞受賞者だらけ!
世界一多作な映画人ロジャー・コーマンのドキュメンタリー映画『コーマン帝国』の公開が迫る中、本作の出演者であり、コーマンのかつての生徒である映画監督・俳優の歴代アカデミー賞ノミネート数が計41ノミネートにも上ることが明らかになった。一つの作品でここまでアカデミー賞候補者が集まるのは極めて異例であり、ほとんど前例のないことだという。
監督作50本超、プロデュース作に至っては500本を超え、もはや正確な数は誰も知らないというほどの多作さで知られるロジャー・コーマン。「早く! 安く! そしてもうける!」というシンプルかつ揺るぎない理念を貫き通した映画製作への姿勢、そしてただの一度もアカデミー賞にノミネートされていないため、時に“B級映画の帝王”“インディペンデント映画の神”とも評される現代映画界の伝説的な存在だ。
第82回アカデミー賞でようやく名誉賞を受賞した際には多くの映画ファンから喝采(かっさい)を浴びた。だが、コーマンの功績はそれだけではなく、才能ある若手を多く発掘したことにもある。超低予算故、コーマンの作品は“コーマンスクール”と呼ばれる過酷な現場で制作されることになるのだが、そこで鍛えられた生徒たちはその後才能を開花させ、ハリウッドで確固たる地位を築いているのだ。
『ヒューゴの不思議な発明』が第84回アカデミー賞最多5部門で受賞したマーティン・スコセッシ、3度の男優賞を受賞しているジャック・ニコルソン、2度の男優賞を受賞しているロバート・デ・ニーロなどはその一例。そうしたコーマンの映画人生をひもといたドキュメンタリー映画『コーマン帝国』には上記3人を含め、かつての生徒たちが多数出演。
『ダ・ヴィンチ・コード』のロン・ハワード、『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミなど、出演者の歴代アカデミー賞ノミネート数は41、コーマン自身の名誉賞を含め受賞数10という、現在のハリウッドを席巻する「コーマン帝国」の実態が明らかに。まさに、アカデミー賞受賞者の陰にコーマンあり。『コーマン帝国』は現代のハリウッド映画を語る上では欠かせない偉人の実像に迫ったドキュメンタリー映画となっている。(編集部・福田麗)
映画『コーマン帝国』は4月7日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開