メル・ギブソン、「反ユダヤ」と批判した脚本家に反論の手紙
ユダヤ教の英雄を描く映画で、監督と出演をする予定のメル・ギブソンについて、この映画の脚本家が「ユダヤ人を嫌っている」と批判したことに対しメルが反論している。
2006年に酒気帯び運転の疑いで逮捕され、ユダヤ教徒への差別的発言をしたとして批判を浴びたメル。そんなメルに、昨年9月、ユダヤの英雄を描く映画の監督・出演の企画が報じられた。映画は『ザ・マカビーズ(原題) / The Maccabees』というタイトルで、紀元前、ユダヤ国を独立に導いたヒーロー、ユダ・マカビーを描くもの。脚本は映画『氷の微笑』のジョー・エスターハスが担い、製作スタジオのワーナー・ブラザーズ映画へ送ったが、先日、ワーナーはこの脚本を却下した。それを受けてか、エスターハスはメル宛てに手紙を送り、映画の製作が進まないのはメルがユダヤ嫌いだからだ、と批判。The Wrapが入手した手紙には、エスターハスがメルの家を訪れ脚本に取り組んだとき、メルが繰り返しユダヤ人を侮蔑する言葉を使ったことや、メルはこの映画を作る気がなく、単に自分の名誉挽回に利用しているだけ、といった内容がびっしりと書き込まれていた。
これに対し、メルは手紙の返事を綴り、「全くの作り話」と反撃。Deadline.comが入手したメルの手紙には、「ワーナーや僕が多額の資金を費やし、15か月もリサーチをしてミーティングを重ね、僕が深く心に描いていたストーリーについて話し合ったにもかかわらず、君が僕の家にやってきたときに脚本が1語も書かれておらず、アウトラインさえできていなかったことにひどく腹が立ったよ。確かに、僕は少し強い態度を示したかもしれない。それについてはすぐに謝罪の手紙を送ったが、僕の手紙を君は悪く取ったようだ。君と君のご家族に、単純な言葉で明確に謝ろう」と記されている。また、「君は、僕がこの作品を自分の傷ついた名声を帳消しにするために企画しているというが、僕はこの企画に10年も取り組んでいるし、企画が公になったのも8年前(差別発言が報じられる2006年より前)だ。この映画は絶対に作りたいと思っているが、ワーナーも僕も、君の脚本では気に入らないというだけのことだ」と、あくまでも製作が進んでいないのはエスターハスの脚本のせい、と主張している。
ワーナー・ブラザーズ映画は、企画が完全に頓挫したわけではなく、エスターハスの脚本を練り直すなど進行の可能性を探っているところだというが、肝心のメルと脚本家の主張が真っ向からぶつかり合ってしまっただけに、製作が再開するとしてももう少し時間がかかりそうだ。(竹内エミコ)