イギリスVSアメリカ!独立系映画の討論会 -ロンドン・サンダンス映画祭
サンダンス・ロンドン・フィルム&ミュージック・フェスティバルで、英米の独立系映画監督による討論会「シンキング・インディペンデントリー UKバーサスUS」が行われた。同映画祭は、アメリカ最大の独立系映画祭であるサンダンス映画祭初のロンドン版である。
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BFIロンドン映画祭ディレクターのクレア・スチュワートは「独立系映画という言葉の使われ方も違うし、イギリスには支配力の大きいスタジオもない」と英米間の違いを説明。「アメリカ政府は、芸術には資金援助しないしね」とサンダンス映画祭ディレクターのジョン・クーパーが付け足すと、アメリカでも映画製作経験のある『マン・オン・ワイヤー』のジェームズ・マーシュ監督が「僕が映画監督としてアメリカでお金を得られたのは14年間で2回だけだよ」と打ち明ける。
イギリスチームのグリンダ・チャーダ監督が「アメリカは映画を観に行く人の数が多いから、配給会社さえつけば観客に届くチャンスがある。イギリスでは配給会社がついても資金回収が難しい」と、イギリスでは政府からの援助が必要な背景を説明。代表作『ベッカムに恋して』に関しては「成功する予感はあったけど、資金を得るのは難しかった。ベッカムのようにサッカーができるインド人の女の子を見つけるのは難しいから資金を出さないと言う人もいたのよ(笑)」と笑い話のような資金獲得までの道のりを語った。
マーシュ監督が「『もっと商業的な映画を作るべき』とキャメロン首相が言ったね。もちろん商業的な成功は目指すけど、自分のフィルターを通して物を見ることが、僕らが独立系映画製作者である根源なのだから、僕はそうしていく」と言うと、サリー・エル・フセイニ監督も「私は、まず私が見たいと思う映画を作る。商業的でなくてはいけないというのには反対よ。アメリカのキャピタリズムは行きすぎと思うわ」と賛同を示した。
アメリカチームも「最初の映画は低予算だったわ」とライ・ルッソ=ヤング監督が言えば、「映画製作は問題解決の連続だよ」とジョシュ・ラドナー監督、「あちこちから資金援助を受けて製作してるのよ」とソヨン・キム監督が続く。独立系映画製作は財政的困難抜きには語れないようだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)