チョンジュ国際映画祭、日本勢は惜しくも賞逃す グランプリはスイス・ロカルノ国際映画祭でも最高賞を受賞した作品
韓国で開催していた第13回全州(チョンジュ)国際映画祭の受賞結果が発表された。新人監督を対象としたインターナショナル・コンペティションのグランプリには、耳の不自由な青年と幼馴染の半日をドキュメンタリータッチで描きつつ2人の秘密を明かしていくアレサンドロ・コモディン監督『サマー・オブ・ジャコモ(英題) / Summer of Giacomo』(イタリア・フランス・ベルギー合作)が受賞した。同作品は昨年のスイス・ロカルノ国際映画祭でも最高賞を受賞している。
また韓国の最新インディペンデント映画13本を集めた韓国映画コンペティション部門では、子作りに苦悩する夫婦という普遍的な問題をリアルにつづったジャン・クンジェ監督『スリープレス・ナイト(英題) / Sleepless Night』がグランプリと観客賞の2冠に輝いた。ジャン監督は長編デビュー作『エイティーン(英題) / Eighteen』(2009年製作)がバンクーバー映画祭アジア部門の新人監督賞に選ばれたこともある韓国映画界期待の星だ。そのほか、今世界の映画人が注目しているフィリピン映画が2作品受賞し、全州でもその勢いを見せつけた。
日本からは同コンペティション部門に小林啓一監督『ももいろそらを』が選出されていたが、賞を逃した。しかし審査委員長を務めた小林政広監督は「コンペ作10作品はいずれも刺激的で素晴らしい作品が並んでいた」とレベルの高さを讃えていた。各賞の受賞結果は以下の通り。
【インターナショナル・コンペティション】
●グランプリ(賞金1万USドル+次回作への製作支援金5,000USドル)
『サマー・オブ・ジャコモ(英題) / Summer of Giacomo』(イタリア・フランス・ベルギー合作) アレッサンドロ・コモディン監督
●特別審査員賞(賞金700万ウォン)
『エクス プレス(英題) / Ex Press』(フィリピン)ジェットB・レイコ監督
●観客賞
『ザ・リバー・ユースト・トゥ・ビー・ア・マン(原題) / The River Used to be a Man』(ドイツ) ヤン・ツァバル監督
【韓国映画コンペティション】
●グランプリ(賞金1000万ウォン)
●観客賞
『スリープレス・ナイト(英題) / SLEEPLESS NIGHT』(韓国) ジャン・クンジェ監督
●観客批評家賞(200万ウォン)
『ウィズアウト・ファーザー(英題) / Without Father』(韓国)キム・ウンス監督
●ムービー・コラージュ賞(CGVチェーン劇場での2週間の上映と宣伝費を支援)
『パダック(英題) / ADAK』(韓国)イ・デヒ監督
【韓国短編映画賞】
●アニメーション部門グランプリ(賞金500万ウォン)
『ヌードル・フィッシュ(英題) / Noodle Fish』(韓国) キム・ジンマン監督
●フィクション・ドキュメンタリー部門最優秀作品賞(賞金250万ウォン)
『ジ・アライバル(英題) / The Arrival』(韓国)シン・イェース-監督
●エクスペリメンタル部門最優秀作品賞(賞金250万ウォン)
『ワイ・ダーズ・ウィンド・ブロウ(英題) / Why Does Wind Blow』(韓国)イ・ハンジュン監督
【NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)】(シネマフェストなどでの上映+賞金500USドル)
『フロレンティーナ・フバルド、CTE(英題) / Florentina Hubaldo, CTE』(フィリピン)
ラブ・ディアス監督