「元気な仙台の姿を見てほしい」!濱田岳、震災直後の仙台で撮影した主演映画『ポテチ』を語る
中村義洋監督の最新作『ポテチ』で主演を務めた濱田岳が、震災後の仙台で行われた本作の撮影を振り返った。
本作の原作は、伊坂幸太郎の中短編集「フィッシュストーリー」に収録された中編「ポテチ」。『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』と、伊坂と中村監督のタッグ作品に欠かせない存在となった濱田が、同じ生年月日に生まれた野球選手・尾崎に特別な思いを抱く、空き巣稼業の男・今村を演じた。
現在も宮城県・仙台市に居を構える伊坂氏の「震災前と変わらず、仙台で映画を作ってほしい」という思いに応えるように、本作は東日本大震災直後の仙台でオールロケを敢行。8日間の撮影に参加したボランティアとエキストラは延べ1000人。濱田は「僕はボランティアスタッフのおばちゃんとよく話していたんですが、日を追うごとに現場スタッフの顔になっていくんです。生き生きとした皆さんの姿に胸がいっぱいでした」と撮影を振り返った。仙台市民球場で撮影されたラストシーンでは、泣く設定ではなかったにもかかわらず、自然に涙があふれて止まらなかったという。
予定外の涙にもかかわらず、カメラを止めずにOKを出した中村監督と、濱田の信頼関係は厚い。今回は、監督自身も「中村親分」として映画に初出演。見事な夫婦(?)漫才を披露している二人だが、濱田に言わせると作中のやりとりは「いつもの僕らなんです」とのこと。「監督とは、お仕事以外でも飲みに行ったりするほど仲良くさせていただいているんです。だから監督が演技をすることも、ちっともやりづらくなかった。逆になんだかかわいく思えてしまいました」という言葉通り、共演シーンからは二人の仲の良さが伝わってくる。
68分という短い上映時間には、「僕たちにできることは、楽しい映画を作ること」と語った濱田をはじめ、スタッフやキャストたちの愛情が詰まっている。「震災後のロケというと、どうしてもつらい印象を持ってしまうと思いますが、この映画に出てくる仙台はすごく元気なんですよ!」という濱田の言葉通り、パワフルで人の温かさにあふれた仙台の街の姿を観てもらいたい。(編集部・森田真帆)
映画『ポテチ』は5月12日より全国公開