故ヴィダル・サスーン氏、最後のインタビュー映像が公開…死のひと月前に収録
現地時間今月9日に84歳で逝去した世界的ヘアスタイリストのヴィダル・サスーン氏の最後のインタビュー映像が公開された。同映像は、ドキュメンタリー映画『ヴィダル・サスーン』の日本公開を控えた4月9日にロサンゼルスで収録されたもので、サスーン氏の温かな人柄が印象的だ。
同インタビューは、サスーン氏が幼少期から美容業界に入り、その名声を確立するまでを語ったもの。14歳のときにこの業界に入ったというサスーン氏が、笑みを浮かべて「だからかれこれ、このインタビューも含めて、70年間美容の世界にいます」と口にする姿はまだまだ元気な様子であり、ひと月後の死の兆候などみじんも感じさせない。
「ファイブポイントカット」といわれるサスーン氏の代表的なスタイルを生み出すには10年という長い時間が必要だったこと、その試行錯誤の数々、そして美容師としての信念など、その口から出てくるエピソードはどれも興味深い。サスーン氏のことをシャンプーなどのブランド名でしか知らないという人も、その波瀾(はらん)万丈なサクセスストーリーにはすぐ引き込まれるはずだ。
10分以上にもなる映像のラストには、日本の観客に向けてのメッセージも収められている。自らの生涯を追ったドキュメンタリー映画について、「ひらめきを得られるかもしれません」とアピールするサスーン氏。84歳という年齢での死は決して早すぎるとはいえないかもしれないが、その功績、後世への影響力を振り返るにはまだまだ早すぎる。本作を観た人は、偉大な天才をまた一人失ってしまったと痛感するに違いない。(編集部・福田麗)
映画『ヴィダル・サスーン』は5月26日より全国公開