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福島第一原発から20キロ圏内…住民の本音をとらえる!「東京のデモのシーンに違和感がある」

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本作の松林要樹監督
本作の松林要樹監督

 26日、オーディトリウム渋谷で映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』が初日を迎え、松林要樹監督が舞台あいさつを行った。

映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』フォトギャラリー

 本作は、東日本大震災で事故を起こした福島第一原子力発電所から20キロ圏内にある福島県南相馬市原町区江井(えねい)地区を舞台としたドキュメンタリー作品。松林監督は、先日公開された『311』の共同監督を務めたが、1週間という限られた時間の中で、現地の人との関係性を作ることのできなかったことに反省があったという。

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 そこで松林監督は友人と共に支援物資を運ぶために改めて福島を訪れ、時には避難所に寝泊まりしながら福島の人たちとの関係を強くしていった。そんな住民たちに対し、市議会議員の田中京子さんが松林監督のことを「この人たちは記録映画を作ろうとしている人です。カメラを向けられるのが嫌な人もいるかもしれないけど、映画として残したいのでいいですか」と紹介した際には、「1,000年に1度の原子力災害だから、むしろ自分たちを撮ってくれ」と言われることもあったという。

 海外の映画祭でも「あんなに苦しいことがあったのに、なぜ彼らは笑っていられるんだ」と驚きの声が上がったという本作の内容。「下ばっかり向いていたら生きていけない。逆境であっても、自分たちをネタにして笑いをとろうとしていましたね。悲しんでいるところを見せようとしない強さを感じました。それと、劇中にはいくつか花の映像が登場しますが、人間がいないところでも、花って咲くんだなと思いました」と松林監督は述懐した。

 松林監督は、24年間地元の市議を務めていた末永武さんの「原発を作ることに対して、日本中の大多数から支持があったわけではない。結局、一人一人の無関心からこういう事故が起きた。こんなことになるとわかっていたら、命がけで反対した」というコメントを引用した上で、「福島の人たちは東京のデモのシーンに違和感があると言っていました。東京の声も、福島の生活者の声も、お互いに届き合っていないんだと。結局は映画だって、きっかけでしかない。自分たちで考えて行動を起こすことでしか変わらない」と語る松林監督には、かつて南相馬市に住んでいたという観客からは「南相馬の人に代わって、お礼を言います」という感想が寄せられていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』はオーディトリウム渋谷で公開中

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